信長協奏曲 Part Ⅰ (ページ16)

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Aside

私とサブローは急いで美濃へ向かった。
とりあえず…馬は乗りこなせないので、サブローの前に乗らせてもらった。

「おっさん。」

「なんだ、お前らか。何のようじゃ。」

「あんた昔、帰蝶殺しかけたことあんだろ。」

「帰蝶様の居る国攻めたって。なんでそんなこと…。」

「この美濃を守るためには、それしかなかったわ。
お前らには、関わりがなかろうが！」

関わりないって…そりゃあ、タイムスリップしてきた私達は、
元々織田家の人間じゃないけど。

「あいつは俺たちと一緒なんだよ。
いきなり知らない土地に嫁にいかされて、
たった一人で自分の生きる場所、見つけなきゃなんないって。
タイムスリップした俺たちと、一緒だと思わない？」

「私も…一人だったらこころ細いと思ったよ。
でも、サブローがまだ居たから今日まで生きれてる。
気持ちぐらいわかってあげてよ。
…帰蝶様、ここに置いてあげてください。」

「尾張の時だって、行きたくて行ったわけじゃないんだし。
彼女が本当に嫁ぎたいって思うまでは、ここに置いてあげてよ。」

「黙れ！娘として生まれたからには、女は親の道具として生きる。
これがこの時代の、親子の揺るがぬ形じゃ。」

「関係ないでしょ！そんなの！
戦国だって平成だって、何も変わんないよ！
親子は親子でしょうが！！」

「青くせぇこと言ってんじゃねぇや！
やっぱな、しょせんお前らは信長の器じゃねぇよ。」

しまいには、おじさんに「出てけ！」と言われる始末。
こんなんじゃ、ダメじゃん。

…だから、何も変わらないんだよ。