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Aside
「現場を再現するのはいいけど、なんで腕時計にこだわってるんだ?」
「「ベルトの穴だよ。」」
「ベルトの穴?」
はじめちゃんが作業をしている間に、私が説明をする。
「蔵沢先輩の遺体が着けてた腕時計を見た時、
一番内側の穴に使い込まれた跡があった。いつもは、
蔵沢先輩はこの穴を使っていたんだと思う。でも、
死体が発見された時おかしなことに一番外側の穴が使われていた。」
「よし、それじゃあ再現始めようか。」
「はい。」
はじめちゃんの言葉で映研の部室の方へと移動する。
「俺達は、真壁部長の大声で目が覚めて…鍵がかかってて、
内側から出られないからおっさんが、これをぶち破って廊下に出た。」
「で、廊下でろうそくに囲まれた門脇先輩の死体を発見。
蔵沢先輩が居ないことに気付いて、
映写室に行ったらこっちのドアにも鍵が掛かってて…職員室に、
スペアキーをはじめちゃんと真壁先輩が取りに行って、部室に入ると…。」
私は映写室の中に入り、椅子の横まで歩き止まった。
「蔵沢先輩の毒殺死体を発見した。
映写機はフィルムが切れた状態で空回りし続けていて…。」
私とはじめちゃんは映研の部室から映写室へと入る道の図面も確認した。
ワンワン!ワンワン!
「ポアロ?
ポアロ?」
ワンワン!
「ポアロ!?」
真壁先輩たちと一緒に部室の方へと戻る。
確かあの時、蔵沢先輩の手にも吠えてたよね…ポアロ。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年2月27日 8時