File0-60 ページ14
Z.Matuda
着信相手は”A”と書かれていた。
「おい、A！
テメェ今どこに…〈助けて…！松田…！〉」
スマホ越しに聞こえるAの震える声に、
俺はスマホを強く握りしめた。
「落ち着け、今どこにいるかわかるか！？」
〈わかんなっ…助けてっ…！あっ…。〉
「おい、A！A！！！」
途中で切れた電話に俺は立っている事しか出来なかった。
「陣平ちゃん、今の…。」
「あぁ、、Aが、拉致された可能性が高い。」
「松田、萩原。」
「…！！お前ら。」
入り口の方を振り返ると零、諸伏、伊達班長が立っていた。
「Aが危険みたいだな。」
「俺達で助けるぞ。」
「…あぁ、お前らやることはわかってるな？」
「「「「オウ！」」」」
・
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Noside
教室に集まっていたのは、鬼塚教場の生徒達だ。
その中にも松田、萩原、諸伏、降谷、伊達もいる。
他の生徒たちは何事だ、と言うような顔で5人を見た。
「もう知ってる奴もいると思うが、
Aが脅迫されて拉致された可能性がある。」
松田の言葉にその場はザワつく。
…だがある人物は、椅子に座って貧乏ゆすりをしている。
「それがわかったのは、Aの部屋にこれが落ちていた。
…いや、ちゃんと説明すると捨てられていた、だな。
そうだよな、萩。」
「あぁ、恐らくAの部屋に脅迫文を置いたのはここの教場の生徒だ。」
二人はある人物をちらりと見る。
五人はもう目星はついているのか、自信ありげだ。
「新聞の切り抜きから脅迫文作るとは、大したことだな。」
「まぁそのおかげですぐにわかったよ、
犯人がここの教場の奴らだったってね。」
「まだゴミを回収する前で助かったな。」
「…あぁ、そうだよな、桂木陽菜(かつらぎひな)。」
松田はある女子生徒を睨む。
睨まれた女子生徒は貧乏ゆすりを机の下でしており、
松田に名前を呼ばれた瞬間に顔を強ばらせた。
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作者名：反町ゆうり
| 作成日時：2022年5月5日 7時
