おはよう人間【鬼滅の刃】

みそ　あまり　やっつ ページ38

「ふふっ、その顔、かなり夢を満喫したみたいだね」



……誰?

一晴は?私、知らない人に膝枕されてたって事…!?
うわっ!やだ!幸せな気持ちで目が覚めたのに…!一晴!私を知らない人に渡したの?
複雑なんですけど!



『えっと、ごめんなさい。私、人を探しに行ってきます』



「おや?おかしいなぁ、もう目は覚めてるはずなのに。よっぽど夢に出てきた人間が大切だったのかなぁ?」



『……夢?………あれ、鬼…?』



「あ、やっと気付いたんだ
俺は魘夢。幸せな夢を見れて良かったねぇ」



『夢………』



夢?え、夢?

私は、今まで夢を見てたの?

一晴と会える夢?
夢だったの?

あの笑顔と声はちゃんと一晴だった

夢なはずない。



「どう?幸せだったでしょ?
……ふふっ、夢から醒めただけでそんなに絶望した顔になるなんて。よく見せて
俺はそういう顔が大好きなんだ……」



『………っ…』



そう笑いながら私の顔に触れる魘夢という鬼

頬を撫でられたかと思えば、顔をあげさせられる
その時初めて目が会い、“下壱”という文字が目に刻まれていた

興奮したように顔を紅潮させながら頬を撫でてくる魘夢に寒気を覚えた



『っ…やめ、辞めてください…………』



「わぁ……その顔も素敵。君は沢山の表情をするんだねぇ……あっ、逃げないでよぉ」



『………』



隙を見計らって逃げた
………つもりだったのだが…
鬼はどうも運動神経も反射神経もいいらしい。

逃げ遅れた私の右腕は魘夢に掴まれてしまっている
力が強く、振り払えない



『放して………』



「そんなに夢が覚めたのが嫌なの?なら、幸せな夢をもう一度見せてあげようか」



『………夢は貴方が見せていたの?』



「うん、そうだよ」



この魘夢というやつが……
……見せてもらいたい。でも、軽率な行動はよせと学習したばかりだろう



『いや、私は……』



「んー、次はどうしようか…想い人と逢引をする夢?それとも想い人と結婚する夢?どっちがいいかなぁ…君が決めていいよ。
次に寝るときはベッドの上にしないとねぇ
安心して、膝枕はちゃんとしてあげるから
膝に頭を置いたほうが表情がよく見えるしね」



『………………』



この誘惑に乗っちゃ駄目だ
抜け出せなくなる。

正直、また夢を見たい
今魘夢が挙げた夢の例はどれも私が望んでいるものだ

だが膝枕はいらん



「……あれぇ、夢見ないの?普通、人間ならこの誘いに乗るんだけどなぁ………」



おかしいなぁと不思議そうに首を傾げながら掴んでいた手を引かれる

力が強く、抗えない。そのまま魘夢の膝に座らされてしまった


もう勘弁してくれ

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