小さな石ころは戦場の中で恋をした【時透無一郎】

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食事を終え、悲鳴嶼さん達と私の今後について話す




「A………」


『はい』


「今は疲れているだろう。今日は体を休めると良い」


『はい!でも、体が鈍ってるし、後で軽く運動してきます』


「うむ……最終選別にも備えておかなければならない…その意気だ」




湯呑みを片付けながら会話する

その間玄弥さんは何かの本を読んでいた
なんだろうあれ。凄く見覚えある




『…………ちょっと待って…玄弥さん、その本もしかして……』


「ん?あぁ………」




私の言いたい事がわかったのだろう

読むのを辞め、その本の表紙を私に向けた

“鬼殺鍛錬日記”




あ、これ私が書いた……やつ…………




『ちょちょちょ!!何で!?何でさも当たり前かのように私の日記読んでるの!!?』


「よく書けているからな。私がこれを熟読するよう勧めた」


「別に悪かねぇだろ。減るもんじゃねぇし」


『えぇっ………そんなにまともな事書いてないし、恥ずかしいんだけど……』




衝撃なんですけど…!?

後半は食べ物の事ばっかりだし…ちゃんと書いたのは最初の方だけで…

ああぁ!!恥ず!!

返してって言いたいところだけど、二人共これを修行をする為に使ってるみたいだし…

なんか…私だけ?こんな焦ってるの……




『はぁ……まぁわかりました……ちょっと外で体動かしてきます』


「うむ」




思わずため息が出た

気分を変えるために、木刀を持って外へ出る


外の澄んだ空気を吸いながら私がいつも修行していた場所へ向かう

しばらく歩くと、少し開けた場所についた
この場所は一人で鍛錬する時によく来る所だ

周りにそびえ立つ大樹の幹に古くなった布が巻き付けてある

打ち込みをした跡が、がむしゃらに木刀を振っていた頃を思い出させる

その思い浮かんだ自分と、あの日見た少年の姿が重なった




『…………私も、頑張るからね。』




気付いたらそんな言葉が口から漏れていた

木の幹に近づき、ボロボロの布を撫でる
少し目を閉じて鬼を滅したい理由について考える

それは、敵を取るなどではない
ただ単に、理不尽極まりないあの言動に怒りが湧いただけだ

怒りの矛先が鬼。それだけ

きっと、私より理不尽な目に遭っている人は沢山いる
理不尽な死を遂げた人も大勢いるだろう

私はそれが許せない。





少なくとも、今は。

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