【k.y】一輪の花言葉【実.況者】

1輪目 ページ2

2014年、12月24日。

クリスマスイブということもあり、街中は手を繋ぎ歩くカップルや、サンタクロースのぬいぐるみを抱えて走り回る子供とそれを見守る両親、カラフルなイルミネーションの写真を撮ったりなど、幸せそうな顔をしている者ばかりだ。

そんな中、一人家に引きこもりぶつぶつと何かを言い続けている者もいる。

「クリスマスイブがなんだ！！リア充は死んどけ！」

そうマイクに向かって叫んだ男……キヨは、ゲームのコントローラーを握りしめて続けた。

「まずそこで俺の生放送見てるおまえらもクリボッチだろ！」

普通なら荒れそうなフレーズも、キヨなら笑いに変えられる。そんな視聴者とのやり取りを彼は楽しんでいるのだ。

「昼間の生放送なのにどんだけ暇なんだよ！」

時刻は12時47分。それなのに来場者数は増えるばかりで、さすがのキヨも内心驚いていた。

「よしクリア！クリスマスイブなのに全くクリスマス関係ないゲームやってるよすごくない？…時間も良い感じだし終わりにすっか！」

季節感０の短編フリーゲームを問題なくクリアしたところで生放送は終わった。

「クリスマスイブか…」

ずっと家に引きこもっていてもつまらない、そう思ったキヨは大胆に立ち上がりハンガーに掛かっているコートを羽織り部屋を飛び出した……が、財布もなにも持っていないことに気付きUターンした。
今後こそ身支度を済ませ、落ち着いて部屋を後にした。

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