【APH】ATLAS

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お菓子やフルーツも堪能する。

ケーキスタンドに配置されているチョコラスクやオレンジのムース、ブラックベリーのタルトは、少量で甘さは控えめ。
だが、程よい甘さと濃厚な味わいは、舌の上によく残る。美味しさも申し分ない。

皿の上に並べられた、苺や葡萄、林檎といったフルーツの盛り合わせも、アーサーを詠嘆させた。
素朴ながらも爽やかな甘みが口の中に広がる。ここの太陽をたっぷりと浴びて育った果物は、どれも新鮮で、瑞々しい物ばかり。

…はっきり言おう。このアフターヌーンティーは最高だった。

「すごい早く食べ終わったけど、そんなに美味しかったの？」

からかい混じりに、アーサーの肩に手を置く少女。
いつもの彼なら皮肉か得意のツンデレで非常に分かりにくい返答をするのだが、今のアーサーにそんな余裕はなかった。

「紅茶は勿論、菓子や果物も、甘さがやや控えめで紅茶に合っていて…、その、美味かったぞ」

言い切った後になんだか照れ臭くなって、下を向く。恥ずかしくって、顔をあげることが出来ない。アーサーを見下ろす2対の碧眼は、何を考えているのか分からないが、多分笑っているんだろう。

なんだよ、笑うんじゃねえ。…ばーか。

どんどん顔が赤くなるアーサーは、心の中でそう不貞腐れていたのだった。

麗らかな、とある昼下がり。
楽園の一角には紅茶の匂いが、漂っていた。