【APH】ATLAS

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船首旗にアールグレイをページ5

燦々と照りつける太陽が、皮膚をジリジリと刺激する。美しく咲く紫の花が、白い身体を覆った。

「あ───……、」

汗が噴き出し、服に張り付く。金の髪が、濡れた首元に絡む。取ろうとするも、なかなか難しい。焼け付くような暑さが、少女を襲った。

腕で両目を覆う。それでも暑さは変わらず、無慈悲に陽は照り続ける。力が入らない。瞼が重い。目を開けることが出来ない。口が乾く。水が欲しい。塩の味がする。

立ち上がろうとするが、ガクガクと腕が震える。諦めた少女は、仰向けになり、空を見やった。

澄んだ青空。雲はひとつも無く、遠く彼方まで広がってゆく。水平線の、向こう側まで。

頭が揺れる。ガンガンと振動がなる。少女は顔を顰めると、不意に目を閉じた。

─何も聞こえない。

誰かの声も、足を踏む音も、風の囁きも。
何もかも。

瞼が落ちる。

外界が、シャットダウンしたように静まり返った。

せんせんと、水の流れる音がする。
誰かの、聞きなれない声。
柔らかい感覚が、首元に当たった。

─冷たっ！

「っ──、」

驚いて上体を起こすと、地には黒い陰が出来ていた。何かが、首から滑り落ちる。

急いで拾い上げると、それは、冷やされたタオルだった。首元に手を当てる。ひんやりとした水滴が、皮膚を濡らしていた。