【APH】ATLAS

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Lucifer. ページ1

僅かなさざ波の音。
白の少女は眼を開ける。

昼寝をしていたら、いつの間にか夜になってしまったらしい。重い体をハンモックに委ねながら、セレーナは空を見上げた。

全てを埋め尽くすかのような深い紺色。それに負けじと、様々な光彩の星々が夜空に煌めく。中央では幾千にも及ぶ星が、見事な川状に連なっている。
水平線の方を見やると徐々に薄い青色が広がっていて、夜明けが近いことが感じられた。

仰向けの状態のまま、手を伸ばす。
少女の紺碧の瞳に、情景が映し出された。

神と人が共存した、神代の頃。
月女神の血を引く皇族が統治した、安寧と争いの世界。
強い信念を持ち、活気に生きた国民達。
超古代文明でありながらも、非常に人間らしく、堂々とあり続けた国家。

───洪水による、突然の滅亡。

目を閉じる。

今この場にいること自体、正しく奇跡なのだ。
大昔に滅んだ後、また現れるだなんて。

私はここにいる。
確かに存在している。

その事実は、変わらない。

そう思うと、堪らなく嬉しくなった。

目を開ける。

時間が少し経過したのだろうか。水平線近くの空は赤みがかっていて、夜明けが始まろうとしている。
白波が、優しく泡立っていた。

セレーナは木に吊るしてあるハンモックから降りると、住居である神殿に向かった。その顔は、希望に満ちている。

空には、明けの明星が光り輝いていた。
アトランティス帝国の、栄光を告げる為に。