〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:24 hit、合計:322,194 hit

運命の王子様【ジェルマ66】ページ8

※主人公はヴィンスモーク家と家族ぐるみで繋がりがある設定

小さな頃、王子様と結婚するのが夢だった。

いつか白馬の王子様が迎えに来てくれるんだと信じて疑わなかった。私が夢見心地で話すと、彼らはそれをゲラゲラと笑った。

「お前みてーなブスに結婚を申し込む奴なんていねーだろ！」

「そんな奴いたら顔を見てみたいねぇ！」

「結婚してくれなきゃ死んじゃう～って泣きつけばいいんじゃね？」

悲しかったし悔しかったけど、お父様が「ゔぃんすもーくさんのところはぶきのとりひきをたくさんしてくれる、おとくいさまだから、きげんをとってくれ」って言ったから何も言い返さなかった。

幼いながらにとても傷ついた。
だけど、まぁ時間の流れと共に傷は癒えていくもの。
私も大人になった。
白馬の王子様なんていない。ちゃんと分かってる。

ちゃんと気付いた。白馬の王子様じゃなくたって愛し、愛してくれる人がいればいいんだって。

「A、とても綺麗だ」

『ありがとう。貴方もとても素敵よ』

愛しい彼の手をとる。

彼は王子様じゃない。白馬も持ってないし召使もいない。普通の人だ。
だけどとても優しくて、暖かくて、笑顔が素敵で。
私が心から愛する人。
これから結婚する、運命の人。

「新婦、あなたはここにいる新郎を、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか？」

神父さんの言葉をしっかりと聞く。
ええ、ええ、もちろんです。

『はい、誓いま』

誓います

そう言おうとした瞬間、教会の入り口の扉が音を立てて吹っ飛んだ。

何者だ、とザワザワと招待客が騒ぎ始める

＿＿＿が、バージンロードを悠然と歩いてくる人物達の姿を見ると、さっきまでのが嘘のように静かになった。

砂煙が晴れて、その姿がはっきりと映し出された。

瞬間、グラリと脳が揺れる感覚。

なんで、どうして、ここに、彼らが

「よぉ、A！」

ヴィンスモーク家＿四男、ヨンジ

「はーん、一丁前にちゃんとした結婚式挙げてんじゃねーか。Aのくせに」

ヴィンスモーク家＿次男、ニジ

そして

「久しぶりだな。A」

ヴィンスモーク家＿長男、イチジ

どうして。

私、彼らには招待状を渡していないのに。

なんでバレているの。

…いや、それよりも

今更、何をしに来たの。