〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ7)

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『…ごめんなさい。体調が悪くて……はい、すみません。明日は必ず』

ガチャンと電話を切って、ベッドに倒れ込む。
今日も仕事に行けなかった。
あの日、ルッチさんの心の声を読んでから、家から出られずにいた。

あの時のことは嘘だったと思いたい。
でも、もし本当だったら
アイスバーグさんに、忠告しなきゃ。

でも、でも、そんなこと言ったって、どうせ信じてもらえない。
嘘だって笑われて、変な目で見られるに決まってる。

…そうだ。手紙で忠告するのはどうだろう。

私だってバレなければいいんだし。そう思って引き出しからレターセットを取り出す。

最近入社した人物の中に、貴方が持つ設計図とやらを狙っている方がいます。そして貴方の命も狙っています。気をつけてください。信じてください。

貴方のファンより

…これでいい。

後は差出人がわからないようにしてポストに出してしまえば良い。

明日、仕事に行くときに出そう。

そう考えて机に置いた。

ピンポーン

ビクッと肩が震える。

…誰？

宅配便とかは頼んでないし…。恐る恐る覗き穴から訪室者を確認する。

『………っ！？』

口を手で押さえて喉元まで出かかった声を抑える。

なんで、ここに、

あの男が

ピンポーン

再度インターホンが鳴る。

早く、早く何処かへ行って…！

ベッドに潜り布団をかぶって耳を塞ぐ。

こわい。こわい。

カタカタと身体が震えて止まらない。

何分くらい経っただろうか。

恐る恐る耳を押さえていた手を外す。
インターホンはもう鳴ってなかった。

よかった。帰ったんだ、そう思って布団をめくる

その時

「どうやら本当に心が読めるらしいな」

『！？』

誰もいない部屋のはずなのに第三者の声がした。
声の方を向くと、あの男が＿ルッチさんが立っていた。右手にはアイスバーグさんに渡すはずだった手紙を持っている。

手紙の封は既に開けられていた。

『……っひ』

ルッチさんは私に近づくとベッドに押し倒し、耳元に口を寄せ言った。
　

「心を読んでみろ」

次の瞬間、心の声が聞こえてくる。

目を見開いた私を見て、彼は私が心を読んだことを察したらしい。

逃げようとしたが、もう遅かった。

(お前の能力はお前を含めて丸ごと俺がもらう)

(まずは俺に逆らう気力が無くなるように)

(抱き潰すところから始めよう)

end