〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ6)

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『っ、す、すみません！』

「大丈夫か？Aがミスをするなんて珍しいな」

『あ……あの、えっと、すみませ…ん』

動揺するな。動揺するな。
そう思うのに心臓の動きはドキドキと早く、震える声は止まらない。
アイスバーグさんを殺すって何？
それに、CP9って何？

「…大丈夫かっポー」

ルッチさんの手が、私の手に触れた。

『ひっ、嫌っ』

思わずその手を振り払って気づく。
やってしまった。

『あっ……す、すみません。あの、私』

「A、大丈夫か？疲れてるんだろう。今日は店長に言って休みをもらったらどうだ」

『…はい、そう、します』

まだ、心臓がバクバクしてる。

この場にいるのが怖くて、とにかく逃げ出したくて、4人に頭を下げて席を去った。

「あら、どうしたのかしら」

「うーん、Aがミスをすることなんてそうそう無いんだがな。いつも人の心が読めてるんじゃないかってくらい色んなことに気づいて、すごいなとみんな噂してるんだ」

「…人の心を読めるのかっポー？」

「噂だ噂。そんなことはあるはずないだろう」

「………。」

そう言ってアイスバーグは話題を変える。

しかしルッチだけは、未だAのことを考えていた。

(グラスを持つ手はしっかりと握られていたし、たかが手に触れただけであの怯えた反応)

不自然過ぎる。

あの時、自分はアイスバーグを殺す、と考えていた。

その心の声を読まれたというのなら、あの反応も頷ける。もちろん、心を読むだなんて非科学的なことはわかっている＿＿が、このグランドラインは何が起きても不思議じゃない。

可能性は潰しておく必要がある。

食事が終わり解散となった。
アイスバーグが去り、残されたのは俺とカク、カリファだけとなる。

「カリファ、あの女の連絡先を調べろ」

「元より調べるつもりだったけど、まさか本当に彼女が心を読んだとでもいうの？」

「可能性はゼロじゃない。俺はあの女がグラスを落としたあの時、アイスバーグを殺すことを考えていた」

心が読めていたというのなら、あの動揺も納得ができるだろう？

「そうね。……にしても、もし本当に心が読めるのだとしたら」

「あぁ、その時は連れて行く。そんな貴重な能力、放っておくなんてもったいない」

「しかしどうやって、心を読めてるかを確かめるんじゃ？」

カクの疑問にルッチは口角を上げて答えた。

「俺に考えがある」