〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ43)

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盲目的な正義【ルッチ】ページ43

正義とは何か。

私はずっと正義と世界政府はイコールだと思っていた。

だけど、本当にそうなのか？

「くそっ…！お前らは世界政府のためと正義のためと殺しをしているが、それがどれだけの人を苦しめているのか知らないんだ！」

『そんなの弱者の戯言にしか聞こえないよ。あなたはここで私に殺されるの。革命軍第二隊長さん』

最後に言い残すことは？

そう聞くと、革命軍の男はハッと笑って口角を上げた。

「いや、知らないんじゃない。お前たち政府の犬は考えることを放棄してるんだよ！」

『…何ですって』

「自分のしていることを正義だと盲目的に信じているからこそ、俺たち革命軍を殺すんだ」

お前は、自分で正義というものについて考えたことがないだろ？

男の言葉は私の胸に深く突き刺さった。

「世界政府が謳う正義をただ受け入れてるだけだ。自分の目で、耳で考えることを放棄した只の殺戮人形＿＿＿それがお前だ」

『っちがう！私はっ』

「ならば正義とは何か問おう。自分の頭で考えて、正義のために働いているというのなら答えられるだろう？」

もちろん、世界政府イコール正義だなんて幼稚な答えはしないだろうな？

男の問いに答えられなかった。

男は立ち尽くしている私を見て
「やっぱりな」と笑って、逃げた。

『私は…正義のため、に』

追うことは容易かった。

だけど、追えなかった。

あの革命軍の言っていることは的を得すぎていた。

私は、今まで正義のためにCP9として人を殺してきた。

でも、私の信じてきた正義が本当は正義じゃないとしたら…？

『私は…ただの人殺しだ』

「何の話だ」

『っ…！？』

突如聞こえた声に反射的に距離を取る。

瞳が声の主を映し出す。

『…ルッチ』

何でここにいるの？

私がそう言うよりも前に、ルッチは口を開いた。

「お前は人の気配を読むのに長けているのに、珍しいな」

調子が悪いのか？それとも

「何か余計なことでも考えていたか？」

『……っ』

落ち着け。
いかにルッチといえど、人の心を読むことはできない。

動揺するな。

『いいえ。すみません、先程ターゲットを1人逃がしてしまいました。直ちに殺しに行きますので失礼いたします』

もう一度、あの革命軍の男に会えば、私のモヤモヤは解決できるかもしれない。

殺しに行くふりをして、一度彼らの話を＿＿＿

そう考えて歩こうとした私の足元に、何かが投げられた。