〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ35)

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・ページ35

結局のところ、私は死ななかった。

あの後、砂の神様は
「俺に任せれば全て解決してやる」
と言ってきた。

そして文字通り、全て解決されたのだ。
脅したのか、買収したのか、真犯人を捕まえたのか。
どうやったのかは分からない。でも理由なんてどうでも良かった。
だって、彼が＿＿クロコダイルさんが私を絶望の淵から救ってくれたのに変わりはないんだから！

『これが私がバロックワークスにいる理由です！ミスオールサンデー！』

＿＿＿名前を呼ばれてハッと顔を上げると、彼女＿Aは私の方を真っ直ぐと見てニコニコと笑っていた。

Aは戦闘員ではない。
あまりにも平和ボケしている女の子に興味が湧いて、ここにいる理由を聞いてみたのだ。

そうしたら、何てこと。

彼女は、気付いていないんだわ。

「…A。あなた、その話なんだけど」

「ミスオールサンデー」

私の名を呼ぶ低い声。

誰かなんて振り向かなくても分かっていた。

「お前には仕事を頼んでいたはずだが？」

「ごめんなさい。すぐに仕事に戻るわ」

『ごごめんなさい！私のお話が長過ぎたんです！』

懐かしくなって、ついゆっくりとお話ししてしまいました…！

そう言って頬を染めて笑うAの頭
をクロコダイルはクシャッと一度だけ撫でて歩き出した。

「来いミスオールサンデー」

「えぇ、分かったわ」

『お二人ともいってらっしゃいー！お気をつけて！』

＿＿＿＿

「ふふ。可愛い子ね」

「…何か言いたいことでも？」

「あなたがMr2の能力を使ってまで欲しがるのも分かるわって思って」

「………。」

「言わないわよ。言ったところで私にメリットが無いじゃない」

今にも殺しにかかりそうな男に向かって、両手をヒラヒラとさせて無抵抗の意を示す。

クロコダイルは私を一瞥すると、もう無駄話は終わりだとでもいうように真っ直ぐに歩き出した。

絶望の淵から救ってくれたと思い込んでいる人物が、実は絶望の淵に落とした張本人だと知ったら。

彼女はどうするのだろうか。

戸惑い、怯え、逃げるのだろうか。

でも、きっとクロコダイルからは逃げられない。

あの男はAを離すつもりはないだろう。

それだったら、何も知らないままの方がいい。

無理矢理じゃなく、自ら男に囚われていた方がよっぽど良い。

「…ごめんなさいね。A」

黙認する私を許してちょうだいね

END