〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ34)

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「何よその顔は。どう見たってあんたがやってるんでしょ。全く…私のクラスで問題起こしてくれちゃって。停学は免れないわね」

『待ってください！先生！私本当にこんなことしてないんです！』

「ここまでしといてまだシラを切るつもり？ご両親にもこのことは伝えさせてもらいますからね！！」

『っ！？』

お母さん達にはこのことは言わないで！
そうお願いしたけれど頭でっかちの担任にはまるで効かなかった。

このまま家になんて帰れない。

だって、両親にまで信じてもらえなかったら…。

教室にも家にも帰れず、そのままフラフラと屋上に向かう。
もう授業は始まっているからか、生徒の姿は誰もなかった。

『っ、うっ……ヒック』

これから、これからどうすれば良いのだろう。

いっそのこと、ここから飛び降りてしまえば…

そう思い、柵に手をかけたその時

「やめとけ。飛び降りは見るも無惨なほどにグチャグチャになるぞ」

誰かの声がした。

周りを見渡すが誰もいない。

『も、もしかして。お…お化け』

「誰がだ」

『ひゃぁ！！？』

突然の背後からの声にバランスを崩して倒れそうになったところを、何かに支えられる。

「幽霊に間違えられたのは初めての経験だな」

初めは腕だけだったその姿は、砂が集まるに連れて段々と人間の形になっていく。
ほんの数秒後には背が高い男の人がそこに立っていた。

『お、お化けじゃないなら、砂の神様ですか…？』

「ハッ、中々良いセンスをお持ちのようだな」

砂の神様はそう言うと私の隣にあぐらをかいて座った。

「……で？」

『え？』

「どうして死のうとしてんだ」

そう言われて、砂の神様に会う直前まで死のうとしていたのを思い出す。

『…そうでした。あっ！あの、私と一緒にいない方が良いです！巻き込まれて噂になったら大変ですから！』

「噂？」

『えっと』

話すか少し迷ったが、でもどうせこの後死ぬんだから同じだと思い、私は彼に全てを話した。

「男を取っ替え引っ替えする魔性の女にしては、先程は随分と色気の無い声を出していたな」

『…だって！』

私は別に魔性の女じゃないんだから！

そう言おうとする前に、ポンと優しく頭に手を置かれた。

「事実じゃねぇんだろ？だったら死ぬのはやめておけ。自分から死んだらその噂を認めることになっちまうぞ」

『！』

久しぶりに人に信じてもらえた瞬間だった。