〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ4)

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男は動けずにいる私を、自分の足の間に座らせ背後から私の身体に手を回し自分のそばへと固定した。

スンスン、と首元で匂いを嗅がれる。恥ずかしさとくすぐったさで身をよじったが、男の腕にガッチリていされていて動けない。
抵抗しようとしている私が面白いのか、男は喉を鳴らして笑う。そして上機嫌な様子で話しはじめた。

「1週間前、仕事でこの島に立ち寄った」

仕事も終わって帰ろうとした時、美味そうな匂いを感じたんだ。微かだったが、確かに感じた。
そしてお前を見つけた。

グッと腕を引かれ、男の胸の中に倒れ込んでしまう。慌てて身体を離そうとしたが、男はそれを許さず。逆にあれよあれよと体勢を変えられ、正面から抱きしめられる形になってしまった。
まるで愛する恋人同士がするみたいに。

男と目が合う。至近距離だったから男の瞳に自分の姿が見えた。恐怖に怯える私の顔が写っている。

そして次の瞬間、その至近距離だった長さが0になった。

『……っ、！？』

キス、されて

いや違う。これはキスなんて優しいものじゃない

角度を変え、何度も何度も強制的に唇が合わせられる。息が足りなくなって、男の胸を叩いても後頭部に回された男の腕は緩まない。
諦めて唇の隙間から息を吸おうと口を開けた瞬間、待ってましたとばかりにヌルリと男の舌が入ってくる。

彼女の舌を、口内を、味わうようにゆっくりと舐め上げる。余すことなく徹底的に蹂躙する。これはもはや、捕食といっても過言ではないだろう。

『……っ、はぁ！はぁっ…』

そのまま力が抜けたように男の胸に倒れ込む。
本来、絶対に倒れ込みたくないであろう男の胸に。

その様子を見て、男はニヤリと笑うと首筋に噛み付いた。

『っぁあああ！』

人間の歯だ。ライオンやサメのように鋭くはない。
しかし、それでも痛いことには変わりない。

Aの泣き叫ぶ様子を見て、男は光悦の表情を浮かべる。あぁ、この女は最高だ。1週間粘って探した甲斐があった。

「俺の名前はロブ＝ルッチだ。CP9に所属してる。それと、悪魔の実の能力者だ」

そう言って自分の身体を変化させる。
女が息を飲み、自分から離れようと暴れたため押し倒した。さすが草食動物。危機を感じ取る能力に長けてる。

「ネコネコの実。モデル豹」

『……あ、あ』

私が感じたえも言われぬ恐怖は
肉食獣が草食動物を捕食する、それだったのか。

この日ウサギが1羽、この島から消えた

end