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『甘い夢から覚め、止まっていた時間は動き出す。今こそ目覚めの時__』
右を上げて声高らかに叫ぶ。
この声が深く眠っている彼等に届くように。
『
次の瞬間、麦わらの一味には島を包んでいた夜のベールが溶けていくように消えていくのが見えた。
そして輝く太陽の光が屋敷の中を照らし始めた。
「……う、何だ、これ」
「え、私寝て…?どうなって、あれは夢?」
多くの人が混乱し、中には泣き出す人や怒り出す人もいた。
当然だ。私は皆の時間を奪った。
すう、と息を吸う。
『ごめんなさい。私は貴方達に都合の良い夢を見せて、幾年もの時間を奪いました』
永遠の眠りをうたっておきながら、中途半端にそれを解除して皆を絶望へ追い込んだ。
皆が一斉に私を見る。
私を恨みなさい。
そして
貴方達の手で殺されることが私のけじめであり、救われる道だ。
『私を__ころ』
殺せ、と言う前に背後から口を塞がれた。
誰だと上を見上げると、麦わらの顔があった。
「俺は麦わらのルフィ!海賊王になる男だ!コイツは俺が倒した。だから俺のもんだ!奪わせてもらう!!」
『もが!?もがが(ちょっと何言って)』
「お前らも人の力に頼らず自分で頑張ってみろよ!」
もう、夢は十分に見せてもらっただろ!
これからはその体験を旨に現実にできるように、地に足つけて生きろよ!
そう言うと麦わらは私を抱えたまま屋敷を飛び出した。
背後から麦わらの仲間達達も追ってくる。
「おいルフィ!そいつ仲間に入れるって正気か!?」
緑の髪の剣士の質問に麦わらは「おう!今決めた!」と返す。
「さっきまで敵で、俺たちに悪夢を見せてたやつだぞ!か、考え直した方が」
「大丈夫だって。こいつそんなに悪い奴じゃねぇよ」
長鼻さんの意見が正しい。
麦わらがおかしい。
「まぁ、ルフィがそういうなら」
「仕方ないか」
「大丈夫でしょ」
「俺はレディーが増えるのは大歓迎だぜめろりーん!」
いや
『おかしいでしょうが!馬鹿なの貴方達!馬鹿でしょ!?』
何でそんな本人でも受け入れられてないことを、すんなり受け入れてるの!
そう叫ぶと緑の剣士が笑う。
「ははっ!そうだな、馬鹿海賊団へようこそ」
『願い下げよ!』
麦わら!下ろしなさいってば!!
私の説得に対して麦わらは歩みを止めることなく、ニシシと笑って走り続けた。
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礼(プロフ) - 神永さん» ありがとうございます!行き当たりばったりで始めた作品ですがそう言っていただけるとありがたいです☺️ (2023年2月3日 9時) (レス) id: 84a23c082a (このIDを非表示/違反報告)
神永(プロフ) - ルフィの心優しさといい意味でアホっぽいところがよく出てて凄くいい作品でした…!!第一章最終回も楽しみにしてます!! (2023年2月2日 23時) (レス) @page21 id: c0702c41ce (このIDを非表示/違反報告)
礼(プロフ) - 霧氷さん» ありがとうございます!ちょっと構想ができたので行き当たりばったりですが連載始めてしまいました…!他の作品も更新しつつ書いていけたらと思ってますのでよろしくお願いします! (2023年1月5日 10時) (レス) id: 84a23c082a (このIDを非表示/違反報告)
霧氷(プロフ) - 短編で読んだ時から、ずっとこの先見てみたいと思っていたお話なので、今読めて感動しています……! ご無理のないよう、今後の更新も楽しみにしています! (2023年1月5日 8時) (レス) @page6 id: 55eb7410ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:礼 | 作成日時:2023年1月4日 23時