泣き顔(クラッカー) ページ22
私の生まれ育った島は、フルーツがとても有名だった。気温、湿度、日光の当たり具合など全てが計算されたかのように丁度よく、甘くて質の良いフルーツを作ることができたからだ。
私の家も、林檎や蜜柑など色んなフルーツを育てていた。
赤色、オレンジ色、緑色
色んな色がキラキラ光っていて、とても美しい島だった。
なのに今はどうだろう。
美しかったこの島は、赤色、ただ一色になっている。
それも、どす黒い赤色。
______辺り一面、血の色だ。
「おい、フルーツは船に全部積んだか?積んだらさっさと行くぞ。ママが今か今かと帰るのを楽しみに待ってるからな!」
「はっ、クラッカー様!」
フルーツ畑の茂みに隠れて、声の主を見る。
この島にやってきて、ここを血の海にした男。
…私の、両親を無残にも殺した張本人。
悲しくて、怖くて、悔しくて、堪らなかったけれど
何もすることができずに隠れていた。
お願い。早く島から出て行って。
息を殺して手を合わせる。
だが、次の瞬間
ニヤリ
男がこちらを見て笑った。
『っ!!?』
嘘、バレた!?
足音がこちらに近づいてくる音がする。
嫌、そんな、まだ死にたくない。
そう思うのに、腰が抜けて足が全く動かない
「おい」
『……ひっ』
顔を上げると、さっきクラッカーと呼ばれたあの男が目の前にいた。
あぁ、私もここで殺されるんだ。
そう思ったら、自然に涙がボロボロと溢れてきた。
『っ、う…ヒック……ェ……』
涙が止まらない。
死ぬ前の最後の言葉とかそういったものなんて、とてもじゃないけれど考えられない。
男の前で、ただただ泣きじゃくることしかできない。
「……へぇ、顔もっとよく見せろよ」
『っ、あっ…!?』
そう言うと、男は私の両手を一つにまとめ顎を持ち上げた。
無理矢理、男と目を合わせられる。
男は私の顔を見て更に唇を吊り上げた。
反対に私はその凶悪な顔を見て更に絶望して涙を流した。
「泣き顔、そそるな」
『……っ、何を……ヒッ…』
ベロッ
頰に生温い感触が走る。
涙を舐められたのだ。
『っ、い…や……ヒウッ…』
顔を舐められるだなんて、初めての経験で
まるで肉食獣が獲物を食べる前の準備みたいで
怖くなって、また涙が出てきた。
「ハハハッ!!良い泣き顔だ!」
怖い、怖い、早く終わって。
誰か…助けて。
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Y - めっさスコ…ッ‼︎ドレークの小説もっと増えて! (2023年1月6日 11時) (レス) @page27 id: 627083527a (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - 凄い、性癖にささる文章ばかり……… (2020年5月2日 16時) (レス) id: 28c7dd04d4 (このIDを非表示/違反報告)
軟骨(プロフ) - ホーキンスとルッチが大好きです、、!!最高です!!! (2020年3月29日 2時) (レス) id: d947939996 (このIDを非表示/違反報告)
mikuri1024(プロフ) - お疲れ様でした!一番好きなキャラはクロコダイルなんですが、話は異世界ミホークと救世主ホーキンスがツボでした(//∇//)もし続編出たら必ず読みいきますね!沢山のヤンデレ作品ありがとうございました! (2020年3月28日 23時) (レス) id: e18f624388 (このIDを非表示/違反報告)
だてこ(プロフ) - お疲れ様でした!どの話もおもしろく、毎回更新通知がくるのを楽しみにしていました。なかでも1番好きなのはクロコダイルさんの王国崩壊です!たくさんのドキドキと興奮をありがとうございました! (2020年3月22日 0時) (レス) id: c248856c61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:礼 | 作成日時:2019年8月24日 17時