囚われの人魚（キッド） ページ19
魚人島。
海底1万メートルに存在する、魚人と人魚の暮らす島。
私の…生まれ故郷。
そう、私は人魚だ。
魚人や人魚は人間から迫害を受けてきた歴史がある。表向きではそれも無くなったが、今でもまだ負の歴史が残る地も少なくない。
だから、私は魚人島を出る気は無かった。
この島で生まれ、育ち、結婚し、生涯を終えるつもりだった。それなのに
「ハッ、また海を見てやがんのか。お前もつくづく諦めが悪ィな」
声の主を睨みつける。
そう、確かに目の前に海は広がっている。
だけど腕についた手錠がそれを阻む。
ここは船の上。正確に言えば1週間くらい前に魚人島を訪れた、ユースタス・キッドの船だ。
私は1週間前、この男にさらわれた。
『家に、帰して』
「帰すわけねぇだろ。気に入ったものを手放す人間がどこにいる」
『私は、ものじゃない！』
いいや、俺のものだ。
そう言うと、ユースタスは私の顎を片手で掴んで持ち上げた。
目の前には歪んだ笑みを浮かべたユースタスの顔。
『やだっ、やめ……っ、ぅん…』
唾液と舌が混じる粘着質な音が響く。
嫌なのに苦しいのに、後頭部がユースタスの大きい手で固定されているから動かせない。
「はっ、苦しいならえら呼吸もしたらどうだ？人魚なら得意なんだろ？」
『……っ、最っ低！これだから人間は嫌い！』
「その最低な人間のキスで感じてちゃ世話ねーぜ」
絶対、絶対こんなところ逃げ出してやる！
海に飛び込んでしまえば、彼らは追ってこれないんだから。そのチャンスを待つんだ。
奥歯をギリッと噛む。
「やっぱり良いな！その瞳、屈服させたくなる」
はるばる海の底から連れてきた甲斐があったってもんだ。
その言葉を聞いて、連れ去られた日のことを思い出す。私は彼らに対して何もしてない。
友達と広場でベンチに座ってアイスを食べていた。ただそれだけなんだ。
『…何で、何で私なの。他にも沢山の人魚がいたじゃない……。何で私だけがこんな目に』
「こんな目、とは失礼な話だな」
未来の海賊王の女になるんだ。
選ばれたことを光栄に思うんだな。
そう言って、男は私を抱き上げた。
『離して！』
「1人じゃ歩けねーだろ」
連れてってやるよ。…ベッドまで、な。
私が息をのんだのを見て、彼はまた高らかに笑った。
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Y - めっさスコ…ｯ‼︎ドレークの小説もっと増えて！ (2023年1月6日 11時) (
レス) @page27 id: 627083527a (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - 凄い、性癖にささる文章ばかり……… (2020年5月2日 16時) (レス) id: 28c7dd04d4 (このIDを非表示/違反報告)
軟骨(プロフ) - ホーキンスとルッチが大好きです、、！！最高です！！！ (2020年3月29日 2時) (レス) id: d947939996 (このIDを非表示/違反報告)
mikuri1024(プロフ) - お疲れ様でした！一番好きなキャラはクロコダイルなんですが、話は異世界ミホークと救世主ホーキンスがツボでした(//∇//)もし続編出たら必ず読みいきますね！沢山のヤンデレ作品ありがとうございました！ (2020年3月28日 23時) (レス) id: e18f624388 (このIDを非表示/違反報告)
だてこ(プロフ) - お疲れ様でした!どの話もおもしろく、毎回更新通知がくるのを楽しみにしていました。なかでも1番好きなのはクロコダイルさんの王国崩壊です!たくさんのドキドキと興奮をありがとうございました! (2020年3月22日 0時) (レス) id: c248856c61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：礼
| 作成日時：2019年8月24日 17時
