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兄のような ページ29

はて、どうしたものか。


 昨晩の不破と対談して吹っ切れた俺は、次の日の朝
早速竹谷の元へと向かおうと思っていた。

戻って来てほしい。そう伝えるために

だが、自室をあと一歩で出るという時にまた俺の悪い癖が出てしまった。



(あれだけ竹谷の気持ちを踏みにじるような真似をしておきながら今更戻れなどと都合良すぎやしないか?)

(大体、竹谷が用具委員会に馴染んで生物委員会より居心地がいいなんて言ったら…?)

(そもそも俺の顔を見たくないと拒絶されたら?)

(流石に立ち直れないぞ、それは)

(いや、結果はどうなろうともう前に進むと誓ったんだ。何を迷う必要がある)


『…ゔーん…』


しゃがみ込んでこれからの事を精一杯考えてはみたもののどれもこれも悪い未来しか想像できない。


丸くなって唸っていれば、目の前の襖がそれなりの勢いをつけて開けられる




「おいAいるかー?

って、うわぁ!!?んなとこで何してんだお前ッ」

『と、留三郎ぉ…』

「お、おいっ!ひっつくなよ!!
どうしたんだ一体」


男が男に向かってしがみつく絵面はさぞかし凄まじい事だろう。だがしかし、そんな事を気にしてられる程今の俺には余裕がなかった


『俺は…俺はどうしたらいい?どうしたら、』

「一回落ち着けよ。な?」


困った様に眉を下げた留三郎は、だるまの如く蹲った俺をあやす様に留三郎が膝をついて背を撫でる。

まるでぐずる子供を宥める様な仕草は、同期でありながら兄の様な安心感を招いた。




(…そういえば昔、Aもこうして俺を落ち着かせてくれたっけ)



“大丈夫。僕がついてる 何も怖いものなんてないよ”





「よしよーし。大丈夫だからな」


(子供扱いするな。バカ留…)




懐かしい感覚に涙腺を緩ませつつも、それを目の前の男に悟られない程度に俯き

自身が落ち着きを取り戻すまで、そっと自分に添えられた手に身を委ねることにした。

食満留三郎の大仕事 留三郎side→←降りた重荷



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伊綱(プロフ) - みぢゅさん» 温かいコメント痛み入ります!いつでもお越し下さい!! (12月16日 21時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
みぢゅ(プロフ) - 昨日この作品を見つけて時間も忘れて最後まで読ませて頂きました!! すっごく面白くて、言葉選びも綺麗で、本当に感動しました!また何度でも愛読させていただきます…! (12月16日 9時) (レス) @page40 id: 26ff2501e8 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫毬かなめさん» ありがとうございます。何度でもお越しください。彼らはあなたを歓迎してくれると思います! (8月22日 9時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - ハクさん» コメントありがとうございます!この作品はずっと残り続けるのでこれからも愛読していただけたら嬉しいです (8月22日 9時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
猫毬かなめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!更新がある毎に初めから読み返したくなる、とてもお気に入りの作品でした。この六年生達の絡みが紡がれなくなるのは寂しいですが、これからまた何度も読み返し会いに来たいと思います。お疲れ様でした。ありがとうございました。 (8月22日 3時) (レス) @page40 id: 7e8e70364c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊綱 | 作成日時:2021年8月11日 22時

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