今のあなたには負けない ページ26
一方その頃…
「あんた、本物のバカだな」
『………あ?』
顔を合わせたのが今から3秒前
人の顔を見て開口一番にそんな事を言われてしまえば威圧感のある声が出てしまうのは致し方ないと思う
「俺、今のあんたに負ける気しないです」
『試してみるか?』
鉢屋三郎が鷹尾Aに喧嘩を売り、最終的には鉢屋がコテンパンに返り討ちにされる。
それが今までの“普通”だった。
だが、今日は違う
…
『…チッ』
向けた拳にいつものキレが宿らず、動きを読まれてしまえば後は一瞬だった。逆に飛んできた拳はAの目の前で止まり、そして降りた。
「少しは素直になってもバチは当たらないと思いますよ」
『何の話だ』
「最近のあんたの体たらく、酷いですよ」
『余計なお世話』
「…。意地張ってないでさっさと八左ヱ門戻したらどうですか?せっかくあいつが進んでやりたくもない駆け引きをしたというのに」
『……お前か。
あの子に変な知恵を付けさせたのは』
元々鋭かったAの鉢屋を見つめる目がさらに鋭くなる
「融通の効かないあんたを止めるにはこれしかないだろ」
『あいつにも言ったが、俺はこの先も同じ事が起きれば繰り返すだろう。その時竹谷はきっとまた俺に無茶をさせない為に行動を起こすのは分かってんだよ
だから今、俺に見切りをつけさせ俺から離しておいた方がいい』
「…ッッ。それが八の為になると本気で思ってるなら、あんた…とんだ愚か者だ」
『なんとでも言え』
「! まだ話は終わってない!!」
鬱陶しいと言わんばかりに手をひらひらさせ、Aが鉢屋の横を通り抜ける。不意に止めようとすかさず肩を掴もうとした手は空気だけを捉え、かわされる
『本調子でなくても、お前の動きが単調になれば交わすのは容易いんだよ』
「…っこの野郎」
『ま、この場合 逃げるが勝ちだな』
「させるか!」
振り返った時、既にAの姿はなかった
Aが去った後も鉢屋はその場に立ち尽くし、何も掴む事の出来なかった拳を握りしめる。
「…くそ」
……
…
「…」
遠くで彼らのやりとりを見ていた一つの影
一連の流れを見届けた後、足元の木の葉を散らせて再び姿を消した
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伊綱(プロフ) - みぢゅさん» 温かいコメント痛み入ります!いつでもお越し下さい!! (12月16日 21時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
みぢゅ(プロフ) - 昨日この作品を見つけて時間も忘れて最後まで読ませて頂きました!! すっごく面白くて、言葉選びも綺麗で、本当に感動しました!また何度でも愛読させていただきます…! (12月16日 9時) (レス) @page40 id: 26ff2501e8 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫毬かなめさん» ありがとうございます。何度でもお越しください。彼らはあなたを歓迎してくれると思います! (8月22日 9時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - ハクさん» コメントありがとうございます!この作品はずっと残り続けるのでこれからも愛読していただけたら嬉しいです (8月22日 9時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
猫毬かなめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!更新がある毎に初めから読み返したくなる、とてもお気に入りの作品でした。この六年生達の絡みが紡がれなくなるのは寂しいですが、これからまた何度も読み返し会いに来たいと思います。お疲れ様でした。ありがとうございました。 (8月22日 3時) (レス) @page40 id: 7e8e70364c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊綱 | 作成日時:2021年8月11日 22時