すべて、酒で消す。 ページ10
「……」
「え、五条…さん?」
取り上げた男の人の手を持ったまま悟はしばらく動かなかった。不審に思う私と隣の男の人
私が名を呼ぼうとした時、声が音を発する前にそれは掻き消され
『…さと、』
「ダメだよ〜若手くん。
どうせ憧れるならもっと特級感のある奴にしないと
僕みたいな?
あ、そうだ!特別に僕が特級について色々教えてあげるよ」
「いえ!自分は、その」
「まぁまぁ遠慮せずに!こっちおいで〜
半ば強引に男の人を連れてく刹那、悟と目が合う
「それにこいつ、気性荒いし性格悪いからからあんまり近づかない方がいい。後悔するよ」
(…は?…はぁあ??)
『ちょっどう言う意味よッ』
「ほいっ行った行った」
わざとらしく、それでもって嫌味ったらしいセリフを吐き捨て
一度たりとも会話のキャッチボールをする事もないまま
困惑する男の人を連れて悟はそそくさとその場を去っていった
『……』
ただ一人残された私は、沸き起こる苛立ちを消そうとして
手付かずだった生ビールを勢いつけて煽ったのだった
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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時