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気のせいなんかじゃない ページ9

「きぃてんのぉお??A

私はねぇ〜、あんたにびしっと言っとかなきゃならないのよぉ!」

『歌姫先輩、流石に飲み過ぎ』


店に入って僅か30分

トップスピードでビールジョッキを浴びるように飲んだ先輩は完全に酔っ払ってしまってる

まだカクテルしか手をつけてなかった私は、そんな先輩を未だ比較的シラフの状態で対応している


「あーあー…先輩完全に出来上がっちゃったね」

「しょーこー…トイレ」

「はいはい。A、悪いんだけど少し外すよ」

『うん。分かった〜』



硝子が歌姫先輩をトイレへと連れてった後、私が一人になったタイミングを測っていたのか。素早い速度で隣に座る一人の男性


「あの、失礼ですがもしかして…

五条さんと同じ特級呪術師の夏油Aさんですか?」

『…えぇ。まぁ』

「かねてよりあなたのお噂は聞いておりました。

自分、ずっとあなたに憧れていて…

強くて、逞しくて、何より美しい」

『?どうも』

「よろしければ二次会ご一緒に飲めたらなと、思いまして」

『…いえ、そういうのはちょっと』



(硝子や歌姫先輩もいるし……それに、)



「お願いします!少しだけでいいんです」



そう言って、酒を持ってない手を握られる

曇りない目でまっすぐ見て来るその人は、きっと本心を言っているのだろうが…あいにく、そんな気分でもない


無碍にするのは少し気が引けて…どう対処しようか考えあぐねいていた時






__ぱしっ








『!?』

「!」




突然の事に目を見開いていた私と男の人の間に割って入ってきた彼は、私には一切目もくれず

男の人にだけ目線を向けていた






「ダメ」







賑やかなはずの居酒屋で、やけに響いた低音







「…だめ。」







普通なら震え上がってしまいそうなその声に

安堵してしまったのは、きっと…





気のせいじゃないんだ。

すべて、酒で消す。→←親睦会当日



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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