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旅立ちと攻防 ページ29



……





『さて、そろそろ出発するかな』



必要最小限に荷物を留めて、部屋を出る。


ほんの少しだけでもここはかけがえのない私の家だ

それはこれからも変わらない




「なーに辛気臭い顔してんだ」

『硝子』

「たった一年いないだけだろ?
別に移住するって話じゃないんだからそう気を落とすな」

『ははは。確かに、そうだね』





ゴロゴロとキャリーケースを引きずりながら正門を目指した。

そこには夜蛾先生が待っていてくれて隣には少し大きくなったパンダ


「そういえば五条いないな。忙しくても今日くらい顔出せばいいのに」

「俺も言ったんだがな。外せない任務があるとか」

『別にいいですよ。あんなうるさいのいなくても』

「なんだ?また喧嘩したか?」

『喧嘩じゃない。少しいじめただけ』

「えー…」





あれは、ほんの数日前の出来事である




“ねぇ、本当に行くの?その旅僕もついてってもいい?”

“あんた……自分の立場分かってるの?

大人しく生徒さん達に向き合ってなさい”

“ ぶーぶー”

“おい。ブーイングのどさくさに紛れて中指立てるな”

“ケチなAが悪い”

“ふーん。そんな事言う人にはお土産あげないから


せっかく悟の喜びそうなのいくつか目星つけてたのに…”

“えっ!?”

“七海…あと、後輩くんあたりにでもあげよっかな

聞き分けの悪い悟のお土産、あの二人なら喜んで貰ってくれるだろうね”

“はぁあああ!!!?お前俺の前で他の男の名前出してんじゃねぇよ!!”

“聞こえなーい”

“あ!待ちやがれ話はまだ終わってねーぞ!!!”






……







『ま、うるさいのがいないからスムーズムに行けるわ〜』

「子供か」

「先生育て方間違えたかな…」

「Aー、まさみち泣かすなよ…」

『え?!私??!』

頼もしい同伴者→←結論



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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