青の道標 (ページ28)

今日:4 hit、昨日:26 hit、合計:18,090 hit

結論ページ28

「……はぁ。わかったよ

一回当主を降りて母さんに預ける」

『…おお。悟が引いた』

あれからもいくつかの問答を行い、最終的に悟が折れる事でその話し合いは解決した。

「だいたいね、変な所雑なあなたが今当主になんてなったら何が起こるかわかったものじゃないしね

まだ体が動くうちは私が上手くまとめておくから安心なさい」

……

「ﾁｯ……一言余計なんだよなぁ」

『まぁまぁ』

任務先が近いという事で同じ車に乗っていた

サングラスから包帯に変えながら、悟はずっとこの調子

『さぎりさん。悟の事心配して言ってくれてたんだよ

良いお母さんじゃん』

「そういうもんかね」

『そうだよ。

……羨ましいくらい(ﾎﾞｿｯ』

きっとあれこそが、本来あるべき“母親”の姿なんだ

“Aッ、あんたって子はどうしていつもいつも”

“少しは傑を見習いなさい”

見上げた空は雲が広がってして、心なしか淀んでいる

まるで、今の私の心の様

霞みつつある記憶に残る母の姿は、いつだって怒ってるか泣いてるか

(まぁそりゃ、喧嘩ばかりの娘を好きになる物好きな親はいないよね)

大人になってから考える事が増えた。

あの時、お母さんは何を思って私を見ていたのか

その問いに、答える声はもうどこにもないんだけど

『あ、私ここら辺で』

目的地付近まで差し掛かった時、伊地知君にそう言って近場に車を止めてもらう

『乗せてくれてありがとう。またね、悟』

「A」

『何？』

「…いや、なんでもない

またね。」

『？うん』

何かを言おうとして、結局何をいうわけでもなく

ありきたりなセリフだけを受け取って

私は小さくなっていく車をいつまでも眺めていた。