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五条家当主 ページ27

「悟。あなた

当主の権利を一回私に預けなさいな」

「…は?」

『え、』


それは唐突な提案だった
悟とさぎりさん、そして私。3人でカステラをつついていた時の出来事である



「あなた、教師をやりたいと言っていたわね。

当主の仕事もやりながら教職なんてまず無理な話

ただでさえ今でも多忙なのにそれ以上の仕事をするなんて体が壊れてしまうわ」

「心配ないさ。僕最強だし」

「最強だけど、万能ではないでしょう」

「…」





(おおっ、流石さぎりさん。あの悟が全然歯が立たない)




「それに私の呪力は落ちても、築いて来た地位はまだまだ力を持ってる。心配いらないわ」

「でも僕は、」

「はっきり言わないとわからない?

今のあなたでは役不足だと言ってるのよ」

「…っ」



言葉で強く制圧するような勢いで紡がれた言葉には

子を重んじる母としての優しさが伝わってきた。


確かに高専の時から既に多忙で、倒れた姿を見たこともあった。今なんてあの頃とは桁違いの任務で東西南北移動しまくり



悟は最強であっても不死じゃない


病気にもなるし怪我もする。




さぎりさんはそんな悟の身を案じているのだ



「それにね、」

『?』





ふと、さぎりさんと目線が合う。





「あなたにもしもの事があった時、心配する人がいる事を

知っておきなさい」


『!』




視線を悟に向けた時、同じ事を考えていたのか悟の眼が私をまっすぐ見つめていた。

結論→←嘘なんかじゃない



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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