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五条家の氷花 ページ25

五条家の前当主・五条さぎりは、誰もが息を呑むほどの絶世の美女であった



眉目秀麗、容姿端麗は彼女の為にある。と言わんばかりの尊顔

天女と呼ぶ者さえいる。


五条家相伝の術式を持ち得なかったのに、圧倒的統率力で家をまとめてきた実力者


いち術師としての冷酷さも持ち合わせており
容姿もあって凄まれると迫力もあり、恐ろしく怖い

呪術界をとりまとめる上の人間も、御三家も彼女を恐れていた




“氷の花”

嫌味を効かせたその異名は、息子である悟も知っていた。


だがそんな彼女も人を愛し、子を授かり一人の母となり
いつしかその面影は消えていた。





「…と、いうわけ。会議の流れは特に大した事はなかったわ」

「ふーん。わかった、僕も後で確認する」


「悟」


部屋を出ようとする背を再び呼び止めた。
「何事?」と言わんばかりにこちらを見る悟にさぎりは床を指差し


「そこにお座りなさい。悟」


「え、なんで」

「座りなさい」



語尾を強くし、着席を強要する。


術式でもなんでもないただの言葉



だがその言葉一つに抗えず言われるがまま従った膝に悟が驚いたのも束の間


遅れて感じた背筋を伝うプレッシャーに困惑していた




「私はあなたを六眼と無下限呪術の合わせ持ちに生んでしまった事をずっと悔やんでた。

一族の期待と、これから起こる波乱の運命を全て背負わせてしまった事も…ずっと後悔してた」



せめてしきたりに囚われずのびのび生きて欲しくてある程度の所業は目を瞑って来た




のだけど。


頭を抑えて嘆くさぎりの声は穏やかそのものなのに
急激に周りの温度は冷えていくのを感じた。



「そんなの、今更でしょ。僕はなんとも思ってないし」


「でも、あれはいただけないわね」




曖昧だった空気感が一気に、明確に変わる。
悟はそれを瞬時に察して大きな体を縮こませた




下手な事を言えない。
普段人を顧みず傍若無人に振る舞う彼も、今は目の前の母という存在に圧倒されていた



「ねぇ、悟?」



五条さぎりの本質は昔も今も変わってない。

あくまで、息を潜めていただけ



「あの子があなたを擁護してるから詳しくは聞かないし

もう成人してるあなたに横槍は入れたくないから


一言だけ言わせてもらうわ」






「ダメじゃないの

大切にしたい子、泣かせては」







夜を表現した様な深い青が、悟を射抜く


その目からも放たれる威圧感は全盛期と変わらない迫力があった



“氷花”は健在である

嘘なんかじゃない→←隠した跡 さぎりside



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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