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全力疾走・全力回避 ページ3

あ。

お互いの姿を認識して、僅かな間思考が止まり

最初に正気を取り戻したのは



『…っ』



「待てッA!!!」

『無理無理無理無理ッ』




高専内を西へ東へ駆け回る女と男

女はともかく、男の方は190を超える大男だ。

あまりの迫力に近くを通った生徒や補助監督、教師含めて皆が顔を青ざめて道を開ける


幾度となく死角を使って巻こうとするAだったが、生憎様…彼にはあの眼がある。




『やっぱ六眼どうにかしないと…』



先程後ろを振り向いた時、既に付けていた包帯は解かれ
六眼が晒されていた。完全にやる気満々である

生身の状態で走っても勝ち目はない


ならば。



(呪霊操術…透蝶)


かつての傑との戦闘で殆どが消滅してしまった中
僅かに残っていたAの呪霊の一つ

術者本人の呪力も隠せる結界術で、六眼の追跡もかわせる




「…チッ……また隠れたか」





(こっわ!!まじあと一歩遅かったら私終わってたじゃん)




すぐそこまできていた悟を避けて、極力足跡は立てずにその場を去る。



無事に部屋まで辿り着いた時、安堵感からドアに背を預けてその場に崩れ落ちる



(にしても、迂闊だった…そうだよ。術師なら一番多く来るのは硝子の所だ)



自身の行動を悔やみ、息を整える。

もう、追っては来ないだろうと判断して術式を解除した



そのとき。





…コンコン



(? 硝子か?)



自身で扉を開けるよりも早く、扉が開かれる


あ。と思ったのも束の間


少し上から聞こえてきた、地を這うような低音と

こちらをじっと見る青の双眼は



「…よォ、さっきぶり〜」




今まで見てきたどのホラー映画よりも、私を震え上がらせた。

詰みである。→←すまん。墓穴堀った 硝子side



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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