検索窓
今日:7 hit、昨日:26 hit、合計:18,093 hit

縋った手 ページ14

「……ゔ、…」


「お、五条も起きたか?」

『…悟、大丈夫?』

「……A…」

『?……うぉあ!?』

「…A、」


体を起き上がらせ、覚醒したかに思えた悟だったが
私の姿を捉えた瞬間、ガバッと覆い被さってきて一瞬でパニックになる


「おやおや」

『ちょっ、硝子ッ呑気にお酒煽ってないで助けて!』

「……いかないで、」

『え?』


私の肩にぐりぐりと頭を擦り付けてくるもので、思ってたより柔らかい髪が頬を撫でてきてくすぐったい


『…さと、』
「ひとりは、さみしいよ…」





さみしいよ。A




酒の余韻で、うわ言の中に混じる涙声と

縋るように回された震える手


なんだか切なくて振り払う事ができないまま私は途方にくれていた。



「しばらくそのまんまでいてやりなよ」

『…硝子』

「大丈夫。個室だから誰も来ない」

『うん』

「なんだ、驚かないんだな」

『ずっと前から、知ってから…』



(悟が時折見せる“弱さ”を、私は知ってる)



「なら、しばらく子守頼むよ

私は…そうだな。七海達に絡みに行った歌姫先輩でも回収してくるわ」

『わかった』



硝子を見送って、個室には私と悟だけが残された。



『悟〜?少しきついから体勢変えてもいいかな』

「…やだ。離れたくない」

『離れないよ。だから、ね?』



いい子だから。


なんて、シラフの状態だったら絶対怒っていたであろう口調で一時の解放を要求する。


酒の抜けない悟は案外大人しく、言うことを聞いてくれた




(はじめっからそんなふうに素直だったらいいのに)




“ 五条。私で良ければいつだってもたれ掛かればいい。ちゃんと支えてみせるから”




かつて、悟に言った言葉


なんて事ない言葉を、今になって思い出すなんて




(そうね。支えるって言ったのは、私だものね)



不安定で揺れていた体をそっと抱き寄せて
素直で大人しい悟の頬をこそっとぷにぷにした。

心の拠り所 硝子side→←愉快愉快



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
222人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。