・攫われた妹、届かなかった手 ページ5
その後もオレは続けて語った。
戦忍となって働き始めて多くのものを得た事
その代わり、一番大事なものを失った事
「妹さんは、流行病か何かだったのかい？」
『んや違う』
少しだけ声が暗くなったのは自覚してる
それでも、あの日を語ろうとするとどうしても心拍数が上がってしまって
『凛…妹は、オレが17の時人攫いにあった
親父とお袋も共犯だった』
「！？な、んだって」
何年経った今でも鮮明に覚えてる。
思い返すだけで腑が萎え繰り返そうなくらい
“お兄ちゃん。今日もお仕事なの？”
“ごめん。でも、明日はお休みだから
凛と一日中一緒だよ”
“本当？？やった！それならお兄ちゃん。
明日は一緒に遊ぼうね。約束だよ！”
“ああ。約束”
ゆびきりげんまん
嘘ついたら…＿＿
当たり前の日常のはずだった
『その日の任務帰り、凛が人攫いに襲われてる現場に出くわした』
“凛！？ 何してんだあんたら！”
“助けてお兄ちゃん！！いやっいやぁ！！”
「そんな、」
『相手の人攫いの首領はオレよりも遥かに経験豊富な忍を連れていて
二人倒した時にはもう、首領と凛の姿はどこにもなかった』
唖然としてるオレの背後から両親が走ってきて
正気を取り戻してすぐ後を追おうとしたオレを親父が阻んだ
“行くな…Aッ”
“離せよッ、凛が攫われた！！あんたら何してたんだよ！！”
“すまないA…これもお前の為なんだ”
“私達の気持ち、あなたなら分かってくれるわよね？”
“はぁ！！？んだよそれっ、意味わかんねぇよふざけんな！！！”
大の大人である親父には力では勝てずに、結局オレは凛を救うことはできなかった。
後から聞いたら、凛を渡す代わりに多額の借金を全額帳消しにしてくれるとアカタケの連中に持ちかけられたらしい
その額は、オレが三年働いてやっと手に入れられる額だった
無力さに憤りを感じる
凛を渡した両親にも
救えなかったオレ自身にも
“助けてお兄ちゃん”
最後に聞こえたあいつの声だけが、頭の中に響いていた
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名無し46178号(プロフ) - 面白すぎて徹夜してみました！ (2月28日 22時) (
レス) @page16 id: f99e80254f (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 空さん» 同業者様でした！コメントありがとうございます。お互い頑張りましょう！ (9月9日 13時) (レス) @page5 id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
空 - 面白いです。お互い更新頑張りましょう (9月9日 13時) (レス) id: ffd33a398f (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - とーふぶさん» そう言っていただけて嬉しいですありがとうございます！！！ (9月9日 13時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
とーふぶ - めちゃめちゃに面白くていっきに見ちゃいました！！最高です！ (9月8日 14時) (レス) @page4 id: b0fcd58480 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊綱 | 作成日時：2023年9月1日 2時
