幻術 ページ46
(なんだ、これ…)
「浅はかだったな。屍
お前がここに来る事なんて初めから分かっていたぞ」
そう言って父は薄気味悪い笑みを浮かべた
試行錯誤しようとすればする程、頭は霞がかかった様に何も考えられなくなる
「お前の考える事なんて手にとる様にわかるさ」
父が俺に近づくと、顎を掴まれ嫌でも目線が合わさる
「2年前、忍術学園を襲った時部下がお前を見つけた。
その時殺させるのも良かったが、まだ伸びしろのあったから生かしたのだ。
後に成長し、わたしの元へ来たお前を使う為にだ
忍術学園を今度こそ潰すための駒として」
抵抗する為に拳に力を掛ける。だが、拳は震えるだけで上げることすらままならない
(お茶が原因じゃない。この感じ…は…まさか)
「気づいた所でもう遅い」
普段Aはあまり隙を見せない。同期だろうと後輩だろうと関係なく一瞬たりともきを抜いた事はなかった
今だって細心の注意を払ってここに来た。警戒もしてた。だけど、それでも足りなかったらしい
「わたしの十八番は幻術だと教えたはずだぞ?まだまだ爪が甘い」
『…っ』
“幻術・誘いの言霊”
鈴の音を用いて思考回路を遮断させ、何も考えられなくなった後、完全に意識だけを奪い取り己の意のままに操る事ができる
「わたしが何もはちやを狩る為だけに動いてると思ったか?否。忍術学園は優秀な人材が多数いるらしいからな。
それこそ、はちや並みに忍術学園を恐れている城なんてのは数え切れないほどだ
実に危険極まりない。忌々しい」
チリン…
再び鈴の音が聞こえたかと思えばスッと目元を覆われて視界が暗くなる
そうなってしまえばギリギリ保っていた意識が切れるのはあっという間だった
「もういい、何も考えるな。わたしの言葉だけ耳を傾けろ」
(くそ)
暗示の様に唱え続ける声は確実にAの精神を蝕み続けた。
長くに渡り続いた術に完全に意識が飲まれ、
そのまま闇へと堕ちていく__
「それでいい」
意識を手放し崩れ落ちるAの体。
明かりが灯らない部屋の中で、弥右衛門は満足げに笑みを深める
「この日をどれだけ待ち望んだ事か
さっそく準備せねばな
皆を連れて忍術学園を攻めるぞ
お前たち、各自準備をしろ」
「「「はっ!!!」」」
「……また会いに行くぞ。大川平次渦正
今度こそ、貴様の命をいただく
鉢屋の生き残り諸共」
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます!!なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊綱 | 作成日時:2020年7月25日 13時