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過去編 「屍」と呼ばれた少年 ページ22

『結論から言うなら、あんたの言う通り
俺は本物の鷹尾Aじゃない』


そう前置きをし、一呼吸してから俺は再び口を開いた








物心ついた時には既に俺はその小さな手に苦無をもっていた。

実家ははちや家と同等に優秀な人材が多い「嘉黒家」
そこで生まれた男児。それが俺だ


父の名は嘉黒弥右衛門。嘉黒家当主にして頭領だ



父からは忍びとしての教養を叩き込まれ、ひたすら任務を果たしていた

愛も情もない。そこにあったのは主従に等しい繋がりだけ


父と子なんて関係はあってないようなものだった。


「よいか屍。お前は優秀な子だ
そのままわたしの為に働け。それがお前の唯一の存在意義だ」

『…はい。頭領』


なんの疑問も抱く事なく父の為に尽くし続けた

忍びとしての才能があった俺に、父は更なる期待を込めて俺を仕込んだ。



情報を手に入れる為にありとあらゆる術を身につけた。

子供故に引き出せる隙を狙って目標を殺し、子供に興味のある城主にはその身を差し出して油断した瞬間を見つけて暗殺もした。

数え出したらきりがない

多くの命をその小さな手であの世へと送った




失敗すれば、厳しい罰を受けて最悪俺の存在価値がなくなり捨てられる

その恐怖が、俺の脳を支配していたんだ


『ごめんなさいッ…頭領、もう失敗しませんから

もぅ、許して下さいッ捨てないで…っどうか、』

「………次は、ないぞ。わかったな」



当時の俺には父がすべてだったのだ。

だから、どれだけ過酷な任務が与えられようとも応えてきた。だけど、体に受け止めてきた疲労は俺の意思を無視して蝕み始めていたのだった



(…どうしよう、体が重い……)


いつものように与えられた仕事を終えて、近くの街をふらつく足取りで歩いていた時、不意に声をかけられ腕を掴まれた


『…何?俺急いでいるんだけど、離してよ』

「待って!!」

『…だからっ』



(早く、戻らないと……今度こそ捨てられる)




「ねぇ君…大丈夫?凄い顔だよ。

父さん来て!早く!!」

「なんだなんだA…そんなでかい声出さんとも聞こえとるわい………!お前、」


俺と同い年くらいの男の子と、その男の子の父親であろう大男が近づいてくる



(あぁ、最悪)



それが、俺達の出会いだった__。

過去編 「屍」と呼ばれた少年2→←覚悟と別れと近づく真実



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設定タグ:忍たま乱太郎 , 六年生 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
- この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます!!なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊綱 | 作成日時:2020年7月25日 13時

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