心機一回転 ページ1
『こへ…た、こへぃた……小平太』
「……ん、ぅん？ A、？」
小平太が目を覚ますと、そこには天井を背景にAが心配そうに小平太の顔を覗き込んでいた。
(あれ、もう朝…？)
『何か、悪い夢でも見たか？』
「え、いや…なんで？」
『泣いてたから』
ふっと頬に手を当てれば、乾いてはいるものの確かにそこにはその痕跡があった。
『何の夢を見たんだ？』
「低学年の頃の、Aと出会ったばかりの頃の夢」
『……あー。お前がまだ力の加減が上手くいかなくて右往左往してたあの時期か』
「うん」
眠気が勝っているのか、小平太の声はいつもの2倍静かだ。
その姿が何だか弱々しく感じて、少し切ない
「あの時、」
『ん？』
「痛かっただろ？本当は」
『…。大した事ないよ。お前の痛みに比べたら』
「そうか……、A」
『なに？』
「オレと、友達になってくれて……ありがとう」
『な、』
その言葉を最後に、小平太は再び眠った
(らしくない事、言うじゃないか)
小平太がいう低学年の頃の事は、Aもしっかり覚えていた
あのいつも“明るく元気な”七松小平太が不意に見せた闇の部分。ただうるさくて騒がしいだけだったなら絶対関わりたくはなかったのだけれど
俺は知った。それだけの奴ではないことを
(そう言えば、あの後くらいか…小平太の一人称が変わったの)
“A！私にも水とってくれ！”
“え、小平太…お前、どうした。それ”
“おう！今度からは「私」でやってくのだ！！心機一回転！”
“違う『心機一転』だ。一回転してどうする。てか、どうしたんだ急に”
“新学期始まったら私は生まれ変わる！前は泣き虫と散々言われてきたが、もう泣かない。私は変わるのだ！！
それに…オレにはAや長次がいる。もう何も怖くない！”
“……。ま、お前がそれでいいならいいんじゃないの
でもさ、言ったそばから最後一人称戻ってるよ”
“…あぁ！！！”
『懐かしいな』
今日は一日お休みだ。眠りについた小平太を起こす事はしなかった
『ったく、人に無防備とか言っておいてお前も大概だぞ』
小平太の前髪を少しずらし、
ふっと、軽く触れるだけのキスをそのおでこに送る
『おやすみ。小平太』
今度は、いい夢を見ておくれ
目が覚めたら、またたくさんの話をしよう
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます！！めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (
レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます！！なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊綱 | 作成日時：2020年7月25日 13時
