慰霊碑の前にて ページ14
忍術学園の校庭。その片隅にひっそり立つ慰霊碑
それはかつて、在学中に命を落とした者達を弔う為に建てられたものだ
殆どの遺骨は家族の者へと返されたものの、身寄りがなく、返す場所がない遺骨は全てここに埋葬されている
それは生徒だけでなく事務員や教師陣も含まれるのだった
その慰霊碑の前に佇む青年に、Aは話しかける
『ここにいたんだね久々知』
「…もうすぐ、3年目を迎えるので」
『そっか、もうそんな時期か』
振り向かず、じっと慰霊碑を眺めた久々知の横に立ち慰霊碑を見上げ感傷に浸った
あの日、多くのものを失った
先輩、後輩、恩師…
「学園長、よく慰霊碑なんて建てましたよね
忍を志す俺達には贅沢なものです」
『まぁあの人の事だから、思いつきだと思うけどね』
「ですよね」
『…』
「…」
A達だけでなく、今隣にいる久々知もまたあの日、慕っていた先輩を失った。久々知を庇って
A達の学年の生徒だったから、顔も名前も覚えている
性格も。
『久々知。俺が言うのは何だけど……
あまり、思い詰めるなよ？あいつはきっと、それを望んでない』
「でも、俺のせいで…」
“この傷は、僕のせいでもあります”
ずっと前に浦風に言われた言葉を思い出す
あの子といいこの子といい…
真面目な性質の子達はとても生きづらく見えて仕方ない
確かに彼は、襲われそうになった久々知を助けて死んだ。でも、彼は決して久々知に懺悔して欲しくて守ったんじゃない。
Aだって同じ立場ならそうするし、後悔もない
『久々知、』
「あの人と、あなただけだった
初めて出会った時、俺と真正面から向き合ってくれたのは」
『…』
涙こそ落ちなかったけれど、
そう言った久々知の目はとても悲しい色をしていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます！！めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (
レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます！！なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊綱 | 作成日時：2020年7月25日 13時
