記憶 (ページ23)

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23 晶哉side ページ23

入学式で初めて会った時から、少し気になっていた。

たまたま隣の席になった女の子が、お祝いの日なのにあまりにも暗い顔をしているから。

思わず話しかけていた。

「名前、なんて言うん？」

「…私ですか？」

目をまんまるにして驚いているから笑えてきて

「他に誰がおんねん笑」

なんて初対面の子にツッコミを入れてしまった。

その子は最初こそ動揺してたけど、式が始まるまで話し続けていたら

愛嬌があって、意外とおもしろくて、あと関西の子じゃないから文化の違いとか、そういうのが色々あって

なんか可愛いなーって、それが第一印象だった。

そしたら偶然同じ学部で、同じ授業取ってて、

俺以外に友達おらんみたいやし

ちょっとだけ運命みたいなのも感じてた。

でも花子は俺に本音で話してくれることがそんなに無い。

多分俺の気持ちは何も届いてないし、向こうも俺に恋愛感情なんて微塵もない。

でも俺はやっぱり好きやから、大事にしたいから、ちょっとずつでいいから俺のこと好きになってくれたらええなって。

今日もバイト終わりの花子を、今来たなんて嘘ついて本当は1時間くらい待ってたし。

アホか俺。

でもやっぱり花子とおるのは楽しい。

今日あった出来事を一生懸命話してるのもかわいい。

好きやなって毎日思う。

やから花子の家に着いた時、

あの男に会って驚いたんよ。