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いつも1番楽しみにしている教授の講義室で、いつもの席に座る。


続々と学生が入ってくるところをなんとなく眺めていた。


「どこ見てるん?」


隣から聞き慣れた声。


「あ、おはよう晶哉。」


「花子今めっちゃぼーっとしてたで。」


笑いながら晶哉はいつものように隣の席に座った。


同期の佐野晶哉。


バイトのためにサークルにも入らず、他の学生との関わりがほとんど無い私にとって、晶哉はこの大学で唯一の友達だ。


入学した時から、何故かいつも私を気にかけてくれる。


「昨日なんかあったん?花子がこの講義休むの珍しいと思って。」



「あー…ちょっと疲れちゃって。」



「そっか。忙しいもんな。無理せんでな。」



「うん。ありがとう。」



唯一の友達の晶哉にすら、私の生活の事情は教えていない。



せめて晶哉とだけは、お金の事を気にしない対等な関係でいたかった。



でもたまに、晶哉の優しさが私の心をえぐる。

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作者名:朱沼 | 作成日時:2024年2月18日 0時

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