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結局夜ご飯までご馳走になってしまった。
勉強の合間に二人でテレビを見たり、他愛もない話をしたり。
いつもの切羽詰まった生活とは程遠いもので、なんだか時間の流れがゆっくりに感じた。
「夕飯までありがとうございました。チャーハン美味しかったです。」
「ええよー。こんなんやったらいつでも作るで。」
そう言って私が立ち上がろうとしたその時、
視界が覆われた。
それと同時に、ふわっと香る甘い匂い。
私を1番ときめかせる匂い。
末澤さんに抱きしめられていた。
「…帰るん？」
ベッドの側面に寄りかかるような体勢になってしまった。
末澤さんが体重をかけてくるから、挟まれて少し苦しい。
「だってもう…夕方だし…」
腕を押し付けて抵抗してみても、末澤さんはびくともしない。
「一人嫌いやねん。ほんまは。」
末澤さんは、消え入りそうな声で囁く。
「花子ちゃんと一緒におったから、また一人になる思たらめっちゃ嫌や…。」
あんなに余裕そうだった末澤さんが泣きそうな声でそんな事を言うから、困惑してしまった。
末澤さんの匂いでクラクラする。
「…じゃあ、今日だけ、ここにいてもいいですか？」
我ながら積極的、なんて思ったけど、
そういう問題でもなさそう。
ゆっくり顔を上げた末澤さんが私の目を見る。
「…ええの？」
私は無言で頷いた。
「花子ちゃんは優しいなぁ。」
また頭をぽんと撫で、さっさと私用の着替えを持ってきてくれた。
あれ、さっきまでのは何…？
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作者名：朱沼 | 作成日時：2024年2月18日 0時
