記憶 (ページ12)

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末澤さんの部屋は思ったよりも集中しやすい環境だった。

丁度疲れた頃にカフェラテを持ってきてくれるし、末澤さんが流している音楽が良いBGMになって、まるでカフェのようだ。

一つだけ難点があるとすれば、末澤さんがかっこよすぎること。

末澤さんが私の後ろのベッドに座っているときはまだいいが、ふと視界に入ったとき、だいぶ動揺してしまうくらいにはかっこいい。

「花子ちゃん、進んだー？」

3杯目のカフェラテを持ってきてくれた末澤さんが私の隣に座る。

「はい、結構進みました。」

「頑張ったなぁ。偉いで。」

私の頭をぽんと撫でる。

今は13:00

結構長居してしまったことに気付く。

「こんなに長く居座っちゃってすみません…。」

もうそろそろお昼ですし、戻りますね。」

「…まだ昼やで？ええやん別に。」

「いやでもさすがに…」

言い終わる前に、口を手で塞がれた。

やっぱり彼の顔に浮かぶのはやっぱり不敵な笑み。

「…末澤さん？」

「俺が寂しいねん。ちゃんと人と喋ったのも久々やし。」

な？と笑って立ち上がると、俺買い物ーとか言って部屋を出ていってしまった。

出会って数日のいかにも女慣れしていそうな男の人に、まんまと引っかかってしまった私。

弱っている心に彼の甘い誘惑がつけ込んできた。