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___気がついたら其処に立っていた。


雲がどんよりと空を覆い、太陽が逃げるように雲の後ろに隠れてしまったかのような薄暗い灰色のそらの下。酷くべっとりとした悪臭が漂う何処かの路地裏に。

行く宛も帰る宛もない。ここが何処なのか、どうしてここにいるのかさえわからないのだ。ぼんやりとした頭の奥が、私の存在を主張するかのようにじくりと痛む。

私は誰なんだろう。ここは何処なんだろう。ふらりと歩き出した足元はどこか慣れているのに。



なにか、あとすこし足りないような。
___あとすこしで思い出せるような気がするのに。



ぽつりぽつりと降りだした雨から逃げるように古びた建物に駆け込むと同時に眩暈がした。どうしてだろうか、私はこの香りを知っている。



ああそうだ、これは。この香りは___



建物にひとり、佇んでいたのは少年と言うには大人びた青年。青年は何も写していないかのような静かな瞳を私に向けて薄い唇を開いた。









「もう、これからは奪わない。」




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こんにちは、Writerです。
これは【一難去らずにまた一難】のAnother storyですが、別人格として初めて見た人にも解るように作ります!

というわけでよろしくお願いします。

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作者名:Writer | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年3月3日 2時

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