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困りますぅ、とうるうると瞳を揺らして懐中時計を握りしめる猫___ジェマントに思わずAと涼は閉口した。くそう何この猫超あざとい可愛い。二人の心はジャストマッチしていた。
何を隠そうこの兄妹猫科の動物が大好きなのである。すなわち猫のつぶらな瞳にぐっと何かが揺れた。物凄く揺れた。揺れまくった。__しかして流石にAも涼も非日常を額面通りに受け取るには老獪である。
『ねえジェマントとか言う猫くん。』
「はい、なんでございましょう?」
『……その話を信じろ、というのは百歩譲って良いとしてもね。私たちに何も利益がないどころかむしろ危険そうなことに
「はい!お二方にボク達の世界に来てもらいたいのであります!」
『それ私達受ける義務はないよね?』
ぴし、と空気が固まった。ついでにジェマントも固まった。そしてAはそれを気にすることなくつまらなそうに横を向く。Aは興味のあること(と兄)以外は基本的にドライでどうでもいいやとバッサリ斬り棄てる。兄曰く性格は祖母譲り。
兄である涼の方が多少話を聞くが、Aの興味の失せたものをわざわざ蒸し返すほど面倒なことはしない主義なわけで。
「全くもってその通り。俺たち慈善ボランティアじゃないんだよ。」
「は、はぅ……道理ですねえ。」
『「当然だね。」』
どこぞの錬金術師の漫画のように、等価交換ではないけれどねえ。危険そうでなおかつ面倒そうだし私たちに利益は無さそうだし。ねえ兄ちゃんそんなことより小腹すかない?そうだな冷蔵庫にケーキあるぞ食うか?やったあ流石兄ちゃん!というわけなので他をあたってねジェマントくん。
そんなようなことを言い放つ二人の冷めた目線を逃れるかのように身震いした猫はかっ、と目を開けた。
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作者名:Writer | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月9日 15時