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序幕 People were calling that a hole. ページ1

光と闇の狭間。

何も聞こえぬ闇と、何も見えぬ光と。

ふたつが混じりあったときにぽっかりとあく歪みのような(ホール)

ふたつの境界線(とびら)を隔て、どちらかへ踏み出さんとするとき稀に起こる不可思議な現象。

___其の現象を"落ちる"と表現したのは誰だったか。



それはもう___とうに昔の話。





***




遠い遠い銀河の果て。


今や切り離された世界で平和的に生存している地球の民は知らない。

地球の遥か遠く、四次元空間に位置する四つの世界があることを。

月を見つけ、太陽系の構図を唱えた科学者達を信じた人々は知らない。

四つの世界の文明が地球の文明を(かたち)造った始祖であることを。




それぞれの世界に住む彼らは、それでも確かに生きていた。

しかして、これまで彼らは互いに出逢うことはなかった。





***






四つの世界は"欠けた世界(ラックワールド)"と呼ばれ、其処に住む彼らは何故だかひとつ、突出した能力(ちから)を持ちながら、ひとつ、能力(ちから)に欠けていた。


それぞれの世界でそれぞれの文明を彼らは築き上げた。

それは遭い(まみ)えることのないはずの独立した世界。
交わることの無い筈だった、孤独な世界。





しかし彼らは出逢ってしまった。

"(ホール)"から変則的(イレギュラー)に落ちてきた別の世界の民に。

そうして彼らは知ってしまった。

自らが"欠けている"ことに。







___彼らは望んだ。





この、足りない生(ラックライフ)から逃れたいと。







【誰か】が笑った。






本当に可笑しな奴等だ。良いだろう、ならば叶えよう。

四つの世界(このせかい)が足りないものか、感じてみるが良い。

歪めた次元をまた作ってやろう。お前達がそれを望んだのだから。





さあ、これが始まりだ。






突如として現れた歪みは波風一つ立たない湖に投じられた一石のように波紋を及ぼし、そうして跡形もなく消え去っていく。

まるで最初からそれが"在った"かのように。





それを意に介することなく【誰か】は虚空を見つめた。その脳裏に写るは二人の男女。

動き出す世界の中心にいる、彼と彼女。




【誰か】は呟く。





___果たしてこのながいながい世界の歴史(ものがたり)で、「主人公」は一体誰になるのだろうな。





響く声は何処にも届かない。

第1幕___The cat has fallen on her knee.→



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作者名:Writer | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月9日 15時

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