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「カワウソって意外と指しっかりしてるんだね」
「ちっちぇ」
「赤ちゃんみたいな手してるよ」
「なんでさっきから感想が手に集中してるんだよ」
二階に上がって、すぐに張り付くように見たのはカワウソの展示コーナーだった。
こちらも熱い硝子で遮られているものの、かなり近い距離であの可愛い生き物を見ることが出来る。
場地くんの反応ばかり楽しんでいた節があった私もこれにはメロメロで、隣に立つ場地くんなんかは言わずもがなだった。
その光景にどこか既視感を覚えて、頭を捻ればすぐに答えは見つかる。
場地くんの実家で、部屋に猫をあげた時。
そもそもの前提問題として、彼はかなり、動物が好きなのだろう。
そんなことを考えていれば、「俺たちを前にして考え事か？」とでも言わんばかりのつぶらな瞳と視線がかち合う。
そのまま硝子越しにぺたぺたと触れ、思わせぶりな小悪魔のように、カワウソは私ではない客の方へと向かっていった。
「おい、ずりぃだろ」
「何がずるいのよ」
「くそ〜〜…オレも餌とかやりてぇ〜」
残念ながら、餌をやるのは飼育員さんの仕事で私だってできない。
出来るものならやってみたいその気持ちには同意するけど。
そうやってかなりの時間をカワウソの前で過ごし、次に場地くんが興味を持ったのはアザラシコーナーだった。
まるまるでっぷりとしたフォルムのアザラシが、お腹を使ってすいーっ、と地面を滑っていく姿がツボだったそうで、場地くんはそれを見る度に声をあげて笑っている。
この大爆笑を見ることが出来るのが私だけなのが惜しい。
これだけ自分の姿で楽しんでくれる人が見えたら、アザラシだって働き甲斐があるというものだろうに。
「場地くん、動物好きだねぇ」
「あ？みんな好きだろうが。オマエも好きだろ」
「好きだよ。可愛いよね」
「おう」
場地くんの部屋に置いてある漫画も、動物が出てくるものが多かった。
ここまで徹底されていると一周回って面白くなってくる。
「どうせなら好きなだけ見ようよ。ペンギンの行進もあるし、アシカショーもあるし、イルカショーだって見ないとね」
「すげえ忙しいな」
「面倒くさい？」
「ンなこと言ってねえだろ」
上等だ、と付け足して、バキバキと拳を鳴らす場地くんはやる気十分。
幽霊に体力という概念は無い。すなわち、私が頑張るしかないということだ。
一先ずペンギンの行進を見るべく足を速める。
「休憩なしでいくよ」と場地くんに宣言すれば、彼は「おう」といい返事をした。
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よぞら(プロフ) - 本当に素敵な作品をありがとうございました。もう最後の2人のデートで涙が止まらなかったですし、触れられない…体温もわからない…って切なすぎてずっと泣いてました(泣)本当に大好きです。ありがとうございます!! (2021年10月14日 1時) (
レス) @page31 id: 1a17489b7d (このIDを非表示/違反報告)
仁日 - 完結前なのにもう泣いた。文章能力高過ぎです。ゴイザラス。どうしようド性癖過ぎて完結したら暫くのたうち回る未来しか見えない。大好きです。愛してます。 (2021年10月12日 8時) (レス) @page15 id: 9efffd34d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴海 | 作成日時：2021年10月7日 21時
