渦巻く記憶【ムサシ】 ページ44
時折、物凄く怖くなる時がある。
俺の腕の中で眠っている、A。
俺と違って小柄な彼女は、小さな空間にすっぽりと収まっている。
幸せな時間だ。…でも、
『化け物！』
幸せを噛み締めている時にこそ、過去の光景は容易に俺ににじり寄ってくる。
記憶がフラッシュバックする度、考えてしまう。
もし、今この瞬間にどうしようもなく熱く、大きな炎が、また俺から現れてしまったらって。
そうなれば一番最初に犠牲になるのは、まず間違いなくAだ。
全身を灼熱の炎に覆われ、最後には酸素を奪われて死んでしまうのだろう。
杞憂だというのは分かっている。それでも、考えずにはいられない。
Aまでいなくなってしまえば、きっと俺は壊れてしまうから。
「…ん、」
不意に、彼女のそんな声で意識が現実に引き戻される。
一瞬起こしてしまったかと焦ったけど、どうやら寝言だったみたいだ。
Aはもぞもぞと俺の腕の中で体勢を変えようと動き、向かい合う体勢になると漸く落ち着いたのか、また寝息を立て始めた。
「お、わ」
彼女の細く、華奢な腕が俺の腹にまわされる。
…まわされると言っても、右腕が俺の横っ腹に乗った状態になっただけだけど。
それでも、Aの腕には眠っているとは思えないくらいの力がこもっていて、
……それは、まるで"離さない"と言っているかの様で。
自然とAを抱き締める腕に力がこもった。
彼女の俺より低い体温が心地よくて、次第に思考が融けてゆく。
────あぁ、生きてる。
その事に、心の底から安堵する。
思考だけでなく、過去も杞憂も、全てがぐずぐずに融けていく様な気がした。
…贅沢を言うなら寝言でもいいから、またAの声が聞きたいところだけど、流石に其だけの為に起こす訳にはいかない。
その事を少し残念に思いながらも、明日沢山聞かせてもらおうと思い直し、Aを抱き締め直して目を瞑る。
沈んで行く意識の中で、彼女への愛しさと比例するように、あの炎の記憶は遠退いていった。
渦巻く記憶の何よりも
彼女の温もりには、敵わない。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
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8
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西 - この方角に福があるはずです
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さなろ(プロフ) - とてもおもしろかったです！またナンバカの短編集を書いてくれたら嬉しいです！ (2018年4月16日 19時) (
レス) id: 84ef21ef5c (このIDを非表示/違反報告)
黒がみ(プロフ) - 悠さん» ありがとうございます！これからも頑張って下さいね！応援してます！^^* (2018年3月18日 21時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 黒がみさん» それ以外の色にしたい場合は、"red"の部分を他の色の英語を入れればその色になります！長文申し訳ございません。これからも頑張って下さいね！(*´ω｀)o (2018年3月18日 20時) (レス) id: 472ee73818 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 黒がみさん» 重ね重ねコメントありがとうございます！改めてよろしくお願いしますね、黒がみさん(*´∀｀*)文字を変える方法なのですが、例えば「ありがとう」←この字を赤くしたいときは、<span style="color:red">ありがとう</span> と打てば赤くなります。 (2018年3月18日 20時) (レス) id: 472ee73818 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 現津さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるのは本当に嬉しいのですが、なんとなく恐れ多くて正直ガクブルしております( ; ゜Д゜) (2018年3月18日 20時) (レス) id: 472ee73818 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠 x他1人 | 作成日時：2017年8月15日 1時
