Ｓ 20 ページ22
―――吹き抜ける風が、凄く心地良い。
蘭丸と同じ色の、自慢の桃色の髪がふわふわと揺れた。
マサキの手から逃れた後、私は真っ直ぐ家に帰ることはせず、
河川敷に寄り道をしていた。
イライラしたり、嫌な事が起きた時は、昔からここに来るようになっていた。
蘭丸と神童さんがサッカーをやっているのを見て。
２人―――主に神童さんだけど―――がアイスなんかを買ってくれて
よく私のご機嫌取りをしてくれたものだ。
――だから、誰もいない河川敷は、少し寂しい感じがする。
「…まあ、元々独りなんて慣れっこですけど」
座り込んで、ボソリと呟く。
そう、そもそも昔から私は、『独り』に慣れていた。
母親と父親は、顔を合わせれば喧嘩ばかり。
与えられた自室に閉じこもって、膝を抱えて縮こまっていた。
結局、親は離婚して。
そんなんだったから、人と関わり合いを持とうとしない、
こんな性格になってしまった訳だが。
「…チッ」
思い出したらまたイライラして、思わず舌打ちしてしまった。
すると、突如頬に冷たいものが当たった。
「っ冷た…！」
「よ」
―――よ、じゃねーよ。
私は頬に当たった缶ジュースを受け取り、相手の顔を思いっきり睨めあげた。
「…どうも」
「ぶすっとすんなよー、可愛い顔が台無しだぜ？」
「あんたにだけは言われたくないですよこのリア充ナルシスト」
「何そのあだ名!?」
やかましく怒鳴る度に、おそろいのピンク色の髪がふわっと揺れる従兄。
その隣で苦笑いする、優しそうな少年。
「…はあ。蘭丸、部活は？」
「監督が食中毒で突如中止になった」
いや監督さん何があったし←
すると２人が、私を挟む様にして腰を下ろす。
「Aがここにいるなんて、随分久しぶりじゃないか？」
「そうですね。そうかもしれないです」
神童さんの優しい笑顔は昔から変わっていないようで、
まあ学校中の女子がキャーキャー言うのも頷けた。
「ほたるちゃんはどうしたんですか？」
「ああ、ほたるならさっき送っていった。３人で帰ってたんだ」
「へー、そうですか。仲がよろしいようで何より」
「はは、A、随分と機嫌悪いな」
子供の頃と同じように、頭を撫でてくる神童さんの手は
温かくて、大きくて、変わっていなくて。
何となく、安心感で私を包んでくれた。
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那珀(プロフ) - 春灯海星さん» ありがとうございます！いえ、まだ大丈夫です！ (2015年2月6日 23時) (
レス) id: 77f18f630c (このIDを非表示/違反報告)
春灯海星(プロフ) - 那珀さん、完結、おめでとうございます!! 遅くなってすみません…… あの、主人公の名前を考えたのですが…… 遅かったでしょうか？ (2015年2月2日 17時) (レス) id: ee6b940371 (このIDを非表示/違反報告)
那珀(プロフ) - 春の楓さん» 全然上からじゃ無いですよ、気にしないで下さい(笑)新作出来たらよろしくお願い致します。 (2015年1月31日 21時) (レス) id: 4bbdac3f50 (このIDを非表示/違反報告)
春の楓(プロフ) - 那珀さん» いえいえ！上から目線ですみませんでした。 (2015年1月31日 20時) (レス) id: c6e0619425 (このIDを非表示/違反報告)
那珀(プロフ) - 春の楓さん» イメージピッタリです！笑ありがとうございます！ (2015年1月31日 20時) (レス) id: 4bbdac3f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：El | 作成日時：2014年9月14日 13時
