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ベットのふちに座って、おいでと声をかけた。
こくん、と蒼弥が頷いて私の隣に座った。
「俺から頼んでおいてあれだけど、なんか恥ずかしいかも」
「じゃあ、やめる?」
「……やめない、こんなこと頼めるのAだけだから」
そっと、蒼弥を抱きしめる。
私の知らない、匂いがする。
「もっと、ぎゅってして」
力を込めて抱きしめるけど、今の蒼弥には全然足りなかったみたい。
顔をあげて、これでいっぱい?って聞かれるから、そうだよって答える。
「じゃあ、俺がぎゅってするね」
言い終わらないうちに、蒼弥の両腕が私を包み込む。
男の子に抱きしめてもらったことなんてないから。
どうしたらいいのか正直、分からないけれども。
くっついた蒼弥の体があったかい。
「本当は、Aにもっと早く会いたかったんだ。でも、事務所の大人の人が、女の子と二人で会うのはだめだって言うから、我慢してた。」
蒼弥が私の事を、女の子と認識していた。
ちょっと、驚いた。
「グループ組んだんだ、俺。みんなかっこよくてさ。歌も上手くて……俺には、ローラースケートしかないことは分かってるんだけど、他の人に言われるとしんどい」
きゅっと、腕に力が入る。
どうしたら、蒼弥に伝えてあげられるかなぁ。
どうしたら、蒼弥が安心してくれるかなぁ。
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作者名:大宮さくら | 作成日時:2020年4月21日 22時