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朝、
今日くらい休んでもいいわよ?
お母さんが言ってくれた。

大丈夫、そう伝えて家を出る。

「おはよ、ちゃんと寝たか?」

蒼弥が家の前で待ってた。
そうか、この為に
昨日家を出る時間を聞かれたのか。

「おはよ、大丈夫なの?」

「何が?」

「私と一緒に歩いて」

「安心しろ、隣じゃなくて後ろからついてく」

そっちの方がダメじゃない?
なんて冗談でも言えない雰囲気だったから、素直にありがとうって言った。

行くぞって蒼弥が言うから、駅に向かって歩き出す。


改札を抜けて電車に乗り込むと、後から乗り込んだ蒼弥が人波に押されて自然に近づく。

身長差は約20センチ
もう絶対に届かない。

身動きが取れない満員電車の中で、蒼弥の指が私の指に触れる。
その温かさに、安心感が広がる。



『俺の女に何してんだよ』
昨日、そう言ってくれた声
見たこともない怒った顔

それだけじゃ足りない

そう思ってしまう私はよくばり?



乗り換え駅に着いて、目があう。
帰りは姉ちゃんに頼んであるから、ちゃんと一緒に帰ってこいよって早口で言って降りていく蒼弥。

人混みに消えていく姿を、いつまでも追っていた。






初めて誰かに好きだと言われたのは、中2の時だった。

中学生にもなれば、恋がなんなのか
彼氏ができたできないと
友達との会話の中心は恋バナ。

私の一番身近の男の子は蒼弥だけど
蒼弥が選んだアイドルという道には恋愛はご法度。

側で頑張る姿を見ていた私は、蒼弥への気持ちが何なのか

気がついていたけど認めるのが怖くて
見えないふりしてやり過ごしていた。

そんな事情は誰にも言えなくて

誰かに好きだと言われても
返す言葉はゴメンナサイしかなかった。

好きと言われて
私も好きと言ったら
この人の彼女になるんだって想像したこともあったけど

蒼弥じゃない人と手をつないだり
ぎゅってしたり

もしかしたらキスしたり

それは無理だと思った。


ゴメンナサイを何度か言えば
次にはなんで?って聞かれるの。
誰か、好きな人がいるの?って続くの。

いないよ、って言えば
それを聞いた他の誰かが好きだと言ってくる。


だから女子高に進学したのに。

満員電車で知らない人に身体を密着されたり
学校の前から尾行されたり
気持ち悪い内容の手紙を渡されたり

蒼弥が好きだと認めてしまえば
もう少し気持ちが軽くなったのかもだけど

認めても叶うことのない気持ちであれば
それさえも辛くて

なのに蒼弥は
私を俺の女って言うの?

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設定タグ:HiHiJets , 猪狩蒼弥 , ジャニーズJr.   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:大宮さくら | 作成日時:2020年4月21日 22時

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