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翌朝。
久しぶりに朝から家族みんなで、食卓を囲んでた時だった。
「お姉ちゃん、蒼弥。
Aちゃんと駅で会ったら一緒に帰ってきてあげてよ」
ママに言われた。
なんで？って姉ちゃんがすぐに聞いた。
思いのほか、事態は深刻だった。
「実は、5月くらいから変な人に付きまとわれてるらしいのよ。最近は、駅までついてきたりして怖いってAちゃんママが言ってた」
……………あのバカA
いってきますって平静を装って
家を出たと同時にAに電話した。
何回かのコールの後で、留守番電話に切り替わってしまった。
もう電車に乗ってたら出れないだろうし、真面目なAのことだから、学校に着いたら携帯の電源を切ってるだろう。
大丈夫、自分に言い聞かせる。
なんで
昨日ちゃんと話を聞いてあげなかったんだ
ムカムカする気持ちを抑えて、学校に向かった。
当たり前だけど、授業の内容なんて全然入ってこない。
早く放課後になればいい、それだけを思ってた。
なのに
こんな日に限って、先生に呼び出されてしまう。
学校を出たのは17時過ぎ。
Aに電話しようと携帯を手に持った時だった。
着信画面にAの名前。
驚いて通話ボタンを押すけど、Aの声は聞こえない。
「もしもし？A？」
電話の向こうは無言。
やめて、本当にやめて。
「もしもし？」
「…そや、たすけて」
身体中の血が逆流したかと思った。
「A！Aどこ？」
めちゃくちゃデカイ声を上げてしまった
けど、そんなことどうでもよくて。
一方的に切られてしまった通話をかけ直すけど
Aはでない。
走って、駅まで向かって。
途中で姉ちゃんに電話したけど、出なくて。
こんな時に限って、ママもパパも出なくて。
Aにも何度もかけたけど、呼び出すコール音だけが聞こえてくるだけだった。
電車の中で走るわけにもいかない。
けど、気持ちだけは前に進みたくて。
Aに何かあったら…
何かって何だよ
嫌なことばかりがグルグル頭の中で巡って
そんなことを考えつく自分も嫌で
とにかく
Aに何かあったらどうしようって
俺は
Aが
……………………なのに
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作者名：大宮さくら | 作成日時：2020年4月21日 22時
