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慧-10 ページ10
「次の駅で降りるけど…」
彼女の声に笑顔で頷く。
伊野尾さんは?って、俺に気を使って声に出さずに聞いてくる姿が、また可愛くて。
俺の家は、本当は逆方向。
ただ、もう少し君と一緒にいたかっただけ。
とっさに乗り込んだ電車で、君と密着した時間を過ごすことができて、本当に嬉しくて。
これ以上を望んだら、バチが当たるんじやないかなって思ってた。
電車がホームに到着した。
Aさんが、降車する人の波に流れて歩き出す。
俺は、ドアの最前まで一緒に歩いて、バイバイって手を振った。
電車を降りたAさんが、振り返って俺の胸に何かを押し当てた。
「今日はありがとう!…幸せが訪れますように」
発車ベルがなって、ドアがゆっくりと閉まる。
僕に残されたのは、君からのプレゼント。
小さな銀のスプーンが入った、あの包みだ。
電車がゆっくりと動き出す。
Aさんが見えなくなるまで。
俺はずっと見ていた。
Aさんも、ずっと見ててくれたよね?
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作者名:大宮さくら | 作成日時:2018年4月13日 0時