薔薇 (ページ43)

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それからはさ、美智子さんの家で暮らすことになったんだよ。

毎日、お父さんからは暴力を振るわれて

実の母は、毎日家に来て
美智子さんに、「別れてください」

って土下座しに来るんだ

美智子さんは、その度に悲しそうな顔をする

“はい”とも“いいえ”とも

どっちとも言わない。

ただ、僕の母親を誰かに重ねてるようだった。

そして、僕のことも誰かに重ねてるようだった。

中２になって学校帰りの

ある日、奏と学校から帰ってる時

母親が僕の前に現れたんだ。

僕より奏の方が警戒しちゃって

「何の用ですか」

そらそうだよ

不倫相手なんだから

ある意味、美智子さんの“敵”なんだから。

母親の目はやっぱり、

血走ってて

いかにも、怒ってる様子だった。

「聡。やっぱり、貴方がいるからよ

貴方が居るか、私は幸せになれないんだよ。」

何を言い出すかと思えば

もうその言葉には慣れた

慣れたはずだったのに

「実の息子にいう言葉ですかそれ」

奏の前で言われて

奏が庇ってくれて

「奏くんもそう思うでしょ？」

奏になんてことを聞くんだ。

でも、もしかしたら奏も居なくなればいいのに

って思ってるかもしれない

そう思うと奏の言葉を聞きたくなくて

顔を見たくなくて

顔を伏せた

「思ってますよ」

『っ、、、、！』

分かってたはずなのに

いざ、奏の口から聞くと

現実味があると言うか

「貴女さえいなければ
って思いますよ」

『えっ、、、？』

「これだけは、お礼言いますね」

――――――――聡を産んでくれてありがとうございます

信じられないと思った

初めて、僕の存在が認められた気がしたんだ。

奏は、僕の手をしっかり握って

「だって、こんなに優しくて
カッコよくて、バカだけど
賢くて、こんなに強い子が
僕の親友でもあり
大事な家族で
兄弟なんですから。

そんな子を産んでくれたから

こんな状況に産んでくれたから

僕と聡は出会えたんです」

――――――――貴方にとっては、－だったかも知れません
でも、僕にとっては人生の中で1番の
＋の出来事です。

本当にいい人に出会えた

いい子に出会えたんだって

この子で良かった。って

そう思えた。

だから、今こうして生きてるのは

奏と美智子さんのお陰なんだ