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今は丁度授業の時間で廊下を歩く者は誰一人として居ない。今歩いているのは中等部の二年フロアだ。何故此処を選んだのかは分からない。けど、呼ばれている気がした。歩いているとチャイムが鳴って授業を終えた生徒が教室からでてきた。すれ違う生徒が縁を見て挨拶をし、縁もし返す。すると前からそっくりな二人が歩いてきた。その片方のおっとりとした少年と目が合う。

縁(時透君)

だが相手は矢張り縁のことは覚えていないのかすぐに目を逸らした。縁は少し寂しい気もしたが気にせずに辺りを見ながら歩く。そして彼らとすれ違う。

無一郎「ねぇ」

縁「っ!?」

すれ違った瞬間に縁の腕を"時透無一郎"が掴む。隣にいる"時透有一郎"が目を見開いて固まった。縁も混乱している。無一郎は縁の腕を掴んだまま歩き出した。混乱している縁は呆気なく連れていかれる。後ろで有一郎が叫んでいる声がする。そのまま空き教室に連れてかれた。中に入れられると扉の鍵を閉めて縁を壁で挟む。壁ドンというやつだ。

縁「えーと、どうしたのかな?」

無一郎「っ……う"〜〜!!」

無一郎はそのまま縁の腰に抱き着いて泣き始めた。前世でも余り見なかった涙に縁は目を見開く。そしてフッと笑って頭を優しく撫でる。

縁「時透君。君は記憶所有者だね」

無一郎はゆっくりと頷いた。生まれた時からぼんやりと何かが頭に霧がかかっているのを感じていた。そしてそれを何処かで知っている自分がいた。双子の兄に言っても分かって貰えずに何時しかどうでもいいと思っていた。だけどとある人物を見て霧が晴れた。頭に流れ込んでくる記憶。息絶えていく兄の姿。人を喰らう化け物の頸を斬る自分。それから沢山の自分を囲む人達。全てを思い出した。

無一郎「おひざじぶりでず!兄様ァ」

縁「久しぶり、霞柱 時透無一郎君」

無一郎が泣き止んだのは次の授業の終わりを告げるチャイムの少し前だった。目は赤くなっていてこのままだと兄がうるさいと言ってそのまま次の授業もサボった無一郎。今はずっと縁に抱き着いている。

無一郎「恥ずかしいところをお見せしました。ごめんなさい、兄様」

縁「全然平気だよ。でもそうか、時透君は記憶があったんだね」

無一郎「少し前までは霧がかかっているの感じでしたけど今は完全に思い出しています。それで兄様。一つお聞きしたい事があります。鬼は全滅しましたか?」

**→←第二話 訪問と記憶のある者



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五条彩香(プロフ) - 更新お願いしますT^T (2021年4月29日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - そうですかと分かりました!しつこく催促して申し訳ありません。続きが出来るまで楽しみに待ってます^_^ (2020年10月22日 12時) (レス) id: 8bfd63875e (このIDを非表示/違反報告)
神夜の羽織(プロフ) - とりあえず更新は単行本の方が完結まで全て出たら致します。それまでは申し訳ございません。待っていただいてもよろしいでしょうか?所々原作知識が抜けているので万全にして続きを書きたいと思っています。 (2020年10月21日 23時) (レス) id: 907640caa1 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - (´;Д;`)(´;Д;`) (2020年10月21日 17時) (レス) id: 8bfd63875e (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 更新まだですか? (2020年10月12日 2時) (レス) id: 8bfd63875e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年2月8日 17時

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